早期公開と科学的信頼性
nishio 科学的知見の信頼性を高める方法は査読だけではなく追試があり、査読プロセスにたくさん時間を消費してから公開されるより、プレプリントの段階で公開して他人に追試される方が個人にとって得という状況が発生すると今のAI関連研究のような構造が生まれる。 100年単位の視野で見た時に、この時代が黄金時代なのか、誤った方向に突き進んでいる時代なのかは中にいる我々には判定できないだろう。
nishio 自分が得た知見を「査読付き論文」というスタイルのパッケージに加工するのよりも、即座に公開することの方が「個人にとって得」となったのは、その「得」をもたらす個人の周囲の状況が変化したからだろう。だれがその個人に対して支払いをしているのか。交換様式Cが支払うことで贈与経済が生まれる。 nishio 交換様式Cの交換によって潤沢な現金を得た企業にとっては、現金の価値が低下して、相対的に「優秀な人材」の価値が高まる。そこで優秀さのシグナルを発する個体に対して将来価値を期待してたくさん支払うようになる。このことによる「将来価値」の期待が研究者を素早い情報共有に向かわせる。