仮定の量と意思決定
仮定の量と意思決定
1. 資本市場や公共領域において意思決定者は不確実性の高い状況に晒され、かつ不確実性を低減する為の猶予を与えられないこともザラにあると考えています。そこで彼らは大小の「assumption (仮定)」を多用して投機的に難局を切り抜けたり、将来価値の実現を目指して活動を進めます。 2. assumptionは少なければ少ないほど、あるいは小さければ小さいほど精度高く将来価値を実現するための実務的な活動を淡々と成功させられます。熟練の実務家はこの推論に必要なコストが少ない傾向があろうと思います。 3. 一方、経験が少なくとも、assumptionが荒削りであろうとも、資本市場・組織論理・民意がある大胆な意思決定者のビジョンを評価する(期待する)こともあります。これはときに「ビジョナリー」「適切なリスクテイク」と肯定もされますし、ときに「専門家が鼻白むような虚偽と誤魔化しを演出で飾り付けた金主向けのパフォーマンス」だったりします。そして多くの場合は水は低きに流れるため、後者(実現可能性など全く検討されない夢物語)が多数派となり、それを見て学んだ後進も当然にそれを模倣します。 4. ですから、資本市場においてそれらの期待を喚起するリスクテイクは経済を循環させるための重要な余剰(非効率性)であることを認めつつ、その構造に自分自身は巻き込まれず、基礎基本に忠実にあることの規範的価値を示唆した、というわけです。 関連