わかった感と統合失調症
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1. 「わかった感」はメタ認知の産物
認知心理学では、自分の記憶・判断の正確さを瞬時に評価する感覚を Feeling of Knowing (FOK) と呼びます。FOK は健常者なら正答に強く、誤答に弱く出る「適切な自信調整」を担います。(Frontiers) 2. 過度の「確信」と妄想形成
2-2. 錯覚・幻覚との関連
視覚錯視では健常者が「これは凸だ」と“わかって”しまう中空仮面錯視に患者はだまされにくく、トップダウンの期待が弱いことが示されています。(WIRED) 同様に各種錯視・深度逆転錯視のレビューでも「予測と感覚の重みづけ」異常が報告されています。(Frontiers) 3. 神経基盤
DTI 解析でも前頭-側頭‐頭頂の白質連結低下が「自分が病気だとわかっていない(無病識)」と関連。(PMC) こうした回路は感覚入力と予測を統合し「本当にわかったか?」を再評価するネットワークと重なります。
4. 日本語研究の示唆
5. 臨床的インプリケーション
2. 治療動機づけ:無病識(anosognosia)は治療抵抗性の主要因であり、FOK を扱う面接技法や動機づけ強化が有効。(Verywell Health) 3. 研究課題:
FOK のニューロモジュレーション標的(ACC 背外側前頭葉)
デジタル MCT による自己トラッキングと過信検出
幻覚発生時のリアルタイム自信評価
6. まとめ
介入:メタ認知トレーニングと認知行動療法により、「わかった感」を相対化し再検証するスキルを養うことで症状軽減が期待できる。
これらの知見は、単なる“理解不足”ではなく 「誤った確信の神経心理学」 として統合失調症を再定義する視点を提供します。
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本当にわかっているかを検証することで、誤った確信を直す機会が得られる
その過程で自信は下がる
自信が下がることに感情的に反発を感じる人がいそうだな
自信が100の人は一時的に90に下がっても痛くない
なんどもやってると、一度下がっても将来的に110になることがわかる
自信が11の人は一時的に1に下がるのはギリギリすぎて怖い