はじめてのグウェント
グウェントはどのカードを引くかというランダム要素よりも、手札をどのようにプレイするかに重点を置いた戦術的なカードゲームです。好きなデッキを構築するために、法外な時間とお金が必要とされることもありません
グウェントとは
あなたがある程度ゲームに興味のある方なら、プレイしたことがなくてもWitcher3(PC・PS4・Xbox・Switch)については聞いたことがあると思います。ポーランド人の小説家アンドレイ・サプコフスキの原作小説をポーランドのゲーム会社CD Projekt RED(CDPR)がアクションRPG化したものです。主人公のゲラルトは怪物退治の達人で、高貴な血筋のお姫様であるシリの育ての親であり、恋多き男でもあり、お調子者の友もいます。こう書くと日本の剣豪小説のように思えますが、剣豪小説の西洋ファンタジー版といっても大きく外れることはないでしょう。 https://gyazo.com/10d2c3c769304bfe6bf034127caa2813
Witcher3 のストーリーDLC「無情なる心」のワンシーン。グウェントでも見知った名前が出てくる。このあとに発売されたストーリーDLC「血塗られた美酒」は DLC でありながら Game of the Year を受賞した。 Witcher3 はロングセラーとなり、ゲーム史に残る RPG となった。
第1作・第2作と、一般には認知されていたとはいえない作品ですが、3作目にして AAA 作品として世に出し、大ヒットしました。日本においても剣豪小説のような親しみやすさから、シリアス調の作品が多い欧米原作のRPGとしては異例の人気となりました。
「グウェント」は、その Witcher3 内のミニゲームがスピンオフして単体のゲームとなったものです。発表当初から「美しいアート」「Witcherの世界観」「運によらないゲーム性」「高い競技性」を売りにしていました。Witcher3 内のミニゲームは「元祖グウェント」と呼ばれています。 https://gyazo.com/6ee38a1597808d6341cf05e50bb7820c
図は元祖グウェントのマリガン画面。今見ると、カードの絵柄はシンプルで盤面も簡素である。
美しいアート、Witcherの世界観
下記はグウェントのカードアートの例です。静止画だけでなく、プレミアムと呼ばれるアニメーション化されたカードもあります。カードをプレイすると、そのカードに因んだセリフが再生されるのも売りとなっています。 https://www.youtube.com/watch?v=dpYc1xLWzhY
カードアートは、アニメ調ではなく、大人向けハイファンタジーである「Witcher」シリーズの世界観を維持するスタイルとなっています。この高いアート性は Displate と呼ばれるメタルポスター販売サイトでも売られるほどになっています。 https://gyazo.com/96c5fb44b714d44a844fe3d0c9228baa
メタルポスターとは金属の薄い板にプリントした高クオリティポスターである。
運によらないゲーム性、高い競技性
ここからはゲームの中身の説明をしましょう。グウェントでは、初期手札の多さや、1試合3ラウンド制で2ラウンド先取で勝利という基本ルールが、カードゲームに一般的に存在する「運要素」の影響を下げています。自分の手札と相手の手札との相性を正しく読み切れるか、カードを出す順番をどうするか、どのラウンドにどれだけリソースを配分するか、こうしたプレイング要素がゲーム性と競技性を形作っています。
最も強いプレイヤーの勝率はトップ同士の対戦でも7割(一般プレイヤーとの対戦では9割近く)に達しています。実力差が反映されやすく、高い競技性があるといえるでしょう。
https://gyazo.com/fdf7f479c75a63ebd9ceabe98564f9b2
画像は2019年3月の Gwent Open#8 の決勝戦。優勝したのは右側の中国出身 wangid1 選手。wangid1 はこの大会で1万500ドルを獲得した。このように賞金付きの公式大会も開催されている。
他のカードゲームとの違い
強いカードをいつ使ってもよい
一般的なマナ・コスト制を採用していません。性能の良いカードをいつ使ってもよいルールです。試合の序盤に強いカードを使いすぎると、後半に息切れし逆転されます。かといって、強いカードを温存していると、相手に試合の主導権を握られ、上手く勝たれてしまいます。 グウェントはリソース管理のゲームです。戦いに勝つためには、あえて捨てラウンドを作って負ける必要もあります。一方で速攻で2ラウンドを取ってしまったほうがよい場合もあります。どのようにするべきかは経験を通じて学んでいくことになります。 勝利条件がリーダーのHPを減らすことではない
多くのカードゲームで採用されているのが「勝利条件」です。相手のヒーローを倒すと勝利というものから、デッキが尽きたら負けというような「敗北条件」もあります。
グウェントにはそのどちらもありません。ラウンド終了時に点数の高いほうがラウンドの勝者になり、ラウンドをふたつとれば試合の勝者となります。つまり、適当なタイミングでラウンドを降りて、相手に勝ちを譲ることも戦術となります。ラウンドひとつだけなら相手に勝たせてもよいのです。
先攻が有利ではない
勝利条件がないため、先攻が有利にはなっていません。むしろ相手の出方に合わせて、様々な対応策が取れる後攻側が有利なゲームです。そのため、先攻側にアドバンテージが与えられており、バランスが取られています。2019年1月の開発者配信では、ランクが低いほど先攻側の勝率が高く、最上位のプロランクだと先攻勝率51%、後攻勝率49%まで縮まるとの説明がありました。これは上手いプレイヤーほど、プレイングで後攻側の利点を引き出せており、先攻側に与えられたアドバンテージを帳消しにできていることを表しています。 繰り返しになりますが、グウェントはリソース管理のゲームです。これがあるために、第1ラウンドの手札が良かったからといって、必ずしも勝てるとは限りません。手札が良すぎることは、後半分のリソースを取っておくために、第1ラウンドを長く戦えないということでもあります。ここにプレイングの差が出てきます。
まとめ
グウェントは美しいアートとWitcherの世界観を持ち、他のカードゲームと一風変わったルールを採用したゲームです。Witcherファンはもちろんのこと、競技性の高いカードゲームを遊びたい方にもオススメします。
まずはプレイしてみてください。プレイ中に疑問に思うこともたくさん出てくるでしょう。そのときは「グウェントのプレイ知識」を読んで、遊び方への理解を深めてください。 また個別に疑問点があれば、TwitterでNipponGwentにご質問ください。
公式サイトのフォーラムも確認しておりますので、そちらでも構いません。
その他の参考サイト
グウェントはポーランドのゲームで非英語圏のプレイヤーが多数派のゲームですが、公用語は英語です。そのため参考サイトも英語が中心となります。ほとんどがあなたと同じ英語非ネイティブです。思い切って世界に飛び込んでください。
日本語公式ツイッター:とりあえずフォローするとよいでしょう。
Reddit:「海外の2ちゃんねる」と呼ばれることもあり、確かにノリは軽いですが、記名制でモデレーターもいるため管理が行き届いています。CDPR関係者の方がコメントをすることもあります。読むだけならアカウントは必要ありません。
グウェント攻略情報:公式パートナーである「バーゲン&ゾネス」さんの日本語攻略情報サイト。
The Trendy Gwentleman:アバターや枠などの組み合わせを試せるサイト。
The Voice of Gwent:元々はグウェント内のセリフを収集していたサイト。現在はカードデータベースとしての役割を果たしている。ゲーム内から削除されてしまった日本語音声がいくつか残されている。
グウェント日本語wiki:2021年に始まった一番新しい日本語wiki作成プロジェクト。
Dekki:日本のサイトで、日本語のカードデータベース(v.4.0.3段階)がある。更新停止。NipponGwent は2019年12月まで毎週「先週のグウェント」をこちらに投稿していました。