地図
彼らが批判する考え方は、精神や社会というあらかじめ前提とされているものを、「地図」に書き写すというものであり、「地図」を、「世界のイメージ」、現実の「複写」とみなすことだ。反対に、ドゥルーズとガタリは、現実そのものが「地図」として構成されているというのであり、たとえば、「地図は自己に閉じこもった無意識を複製するのではなく、無意識を構成するのだ」と書いている。
「地図」の基本的な特徴は、まず地図を描くさまざまな「線」があること、そして線が書き込まれる「平面」があることである。そして地図は線を書き加えるごとに変化するため、地図作成には終わりがない。地図は本質的に「ひらかれたもの」なのである。 (芳川泰久・堀千晶,2015,『ドゥルーズ・キーワード89 増補版』,せりか書房,pp.186-187)