線
ドゥルーズによれば、ものごとは、さまざまな線からなる多様体である。 「ものごと」が線から構成されるということは、逆にいうと、線を引くことで「ものごと」の見え方や性格が変わってくるということである。線の重要な性質の一つは、線がそれが引かれる場所、空間をつくりかえることができるということである。
「点」でなく「線」でさまざまな事象を考えるという発想は、ものごとを「定点」によってでなく、動的な傾向をもつ「線」によって考え、そしてその線がさらに複数つらなって交差配置されるようなダイナミズムを示している。
(芳川泰久・堀千晶,2015,『ドゥルーズ・キーワード89 増補版』,せりか書房,pp.136-137)