リゾーム
「リゾーム」とは、地表の下を伸びていく茎であり、この茎は「根」の代わりをする。 ドゥルーズとガタリは、根という根源的な統一性や中心をもたず、それでいて、完全に機能するシステムの一つのかたちをリゾームという概念によって考えようとしている。 ドゥルーズとガタリは『千のプラトー』のなかで「リゾーム」の具体的な諸規則を挙げている。
一つめは、システム内での自由で横断的な接続であり、それによって生じる異種混合状態である。「リゾームのどんな一点も他のどんな一点とでも接続されうるし、そうされるべきである」
二つめは、リゾームは自分に新しい要素が接続されるか、切り離されるかするたびに、「必然的に性質=本性を変える多様体」だということである。それは要素がつけ加わっても同一にとどまる堅牢さとは無縁な、接続とともに生成変化してゆくシステムにほかならない。
三つめは、リゾームは、すでに存在しているとみなされる現実を「複写」するのではなく、線を付け加えるたびに変化してゆく「地図」を描くということだ。リゾーム状の世界の中で、異なるジャンルのもの、例えば社会的なものと芸術の間に新たな接続を生み出すことは「地図」である現実そのものに線を引き、「地図」を書き換えることを意味する。
(芳川泰久・堀千晶,2015,『ドゥルーズ・キーワード89 増補版』,せりか書房,pp.138-139)