プラトー
プラトーとは、精神の高い緊張状態のことであり、高揚が解消されることなく強度的に持続していく状態を指す。
この緊張の「高原状態」は、何らかの終点や目標に到ることを回避する宙吊りの技術であり、「山」のように頂点を持たない。それは、絶頂という結果でなく、そのもの自体で価値をもつ。つまり、このテンションを意味づける目的論的な思考の批判になっている。ドゥルーズは言う。「西欧的精神の困った特徴は、もろもろの表現や行為を、それら自体の価値によって内在平面上で評価する代わりに、外的ないし超越論的=終焉に位置付けてしまうことだ」
ドゥルーズとガタリにおいては、情動の震え、身体の痙攣、分子の運動、音の波動、温度の変動はすべて、目的を持たずつねに変化する強度の連続帯、プラトーを形成する。 こうした強度の連続的持続は、別の種類の緊張と接続され、リゾームを生成することになる。それは目的化された連鎖ではなく、分散していくつながりであり、究極的には「あらゆる強度の連続性から一つの連続体をつくりあげる」ことになる。 (芳川泰久・堀千晶,2015,『ドゥルーズ・キーワード89 増補版』,せりか書房,pp.142-143)