リレーウェア
リレー方式のコミュニケーションを採用したソフトウェア、特にコミュニケーションツールのこと。
Relayware.
概要
リレーコミュニケーションとは:
コメントを書き込める「バトン」をひとりずつ回していくことで、コミュニケーションを行うこと
このページでは単にリレーと呼ぶ
バトンとは:
お題、コメント、リアクション等が入った情報単位
リレーウェアとは:
バトンに基づいたリレーを行うためのツール
SlackやTeamsのジャンルをビジネスチャットといいますが、これと同レベルの新ジャンル「ビジネスリレー」ができるイメージですsta.icon
BFAF
Before
チャット。チャンネルがあって、書き込むと時系列で表示される。これに対して返信をしたりリアクションを入れたりする
ノート。ドキュメント、ノート、ページなど呼ばれ方は様々だが共同編集の場があり、文書的に書き込む
AFTER
リレー。バトンをどう渡すかを設計し、そのとおりにひとりずつ回す。回ってきた人はバトンにコメントやリアクションを入れる
回覧板を思い浮かべてもわかりやすいかもしれません。ただしリレーでは見るだけでなく書き込みも行いますsta.icon
背景
QWINCSには限界がある
例:
チャットはわかりやすいが、時系列的な空気が存在し、スムーズなコミュニケーションはほぼ不可能
ノートはチャットよりも自由に書けるが、自由すぎて牽制し合うため結局コミュニケーションが捗らない。そもそも高度なリテラシーも要求される
私がコミュニケーションツールのトレードオフと呼ぶ現象が起きます。わかりやすさを求めると、チャットのように現実の原始的なコミュニケーションに即した世界観をつくらねばなりませんが、現実と同じなのでスムースは無いに等しいです。この場合、まずは十分な関係性をつくらねばなりません。逆に、スムースのための仕組みや機能を考えると、必要なリテラシーが高くなりすぎて脱落者が増えます。またスムースと自律性は表裏一体であり、スムーズであるということは自由であるというわけで、今度はタスク管理能力や自己拘束力(Bindability)の問題が生じます。これらがないと自律的に動けず、仕事が成立しません。実際、現代人はまだその水準に至れていないからこそ、いまだに出社回帰に頼らざるをえないのですsta.icon
この限界を越えるには、本質的にシンプルなあり方が必要と考えられる
私が近年注目しているのはリアクティブワーク(Reactive Work)です。つまり来たものに反応していくだけで済むようにお膳立てします。問題は、コミュニケーション全般をリアクティブにするにはどうしたらいいかということです。もちろん、メッセージを送っておわり、では意味がありません(タスク管理ができないと忘迷怠が生じて破綻する&できないので破綻します)sta.icon
そうしてリレーの概念に目をつけましたsta.icon
リレーであれば、バトンとして経過を残していけますし、ソフトウェア的に制御もしやすいです。たとえば誰にどのような順番で渡らせるかを指定できますし、As Codeの表現力で記述すればプログラムのようなで複雑な制御もできます(これをワークフローならぬリレーフローと呼びます)。無論、記録もできるので追跡性も確保できます
もちろん、使い手次第ではマイクロマネジメントになってしまいますが、それは使い手の問題にすぎません。ここではリレーという概念のポテンシャルを議論しています。コミュニケーション全般を代替できるポテンシャルは、ありそうに思えます
応用
リマインド
リマインドを組み合わせることで忘迷怠に対処できる
将来像
メール → チャット → リレー
受信箱に溜まるものが変わります。メールでもなく、メッセージでもなく、バトンなのです。私達はたくさんのバトンを受け取って、書き込んで、別の人に渡す(*1)ことでひいひい言うようになるでしょうsta.icon
*1 実際にはリレーウェア側で制御されており、多くの場合は自動で渡されるはずです。道路のトラフィックも、通信のトラフィックも流量など状況を計測した上で制御しますが、リレーも同じになると思います