アビジュアル(avisual)
絵や図といったビジュアルを扱うことが難しいという性質、またそのような人。
例: 実体験が強いですが、当てはまりそうな例をいくつか見繕ってみましたsta.icon
以下がすべて当てはまる:
マインクラフトで豆腐ハウス(初学者が立てるような単一ブロックによる四角い空間)以上の建築ができない
パワポその他スライドでグラフィカルにつくれない
何らかのエンジニアリングにおいて、設計図や構成図を描けない
以下がすべて当てはまる:
地図が読めない(地図の表記と現実の景色を脳内で対応付けることができない)
ビルのエレベーターや電車から出たときに一発で正しい方向に行くことができない(ので1/2の当てずっぽう戦略を取っている)
以下がすべて当てはまる:
建築、絵画、イラストなどの芸術に触れても感動しない(精巧で感心はするが5分後には忘れてるくらいに印象がない)
ライトノベルのイラストを読み飛ばす、あるいは情報として把握するのに目を通す程度で済ませる
絵や図を見るときは文字や構造に注目し、ビジュアル自体は無視することが多い
関連する概念:
学習障害(LD)を体系化したものですが、臨床的にはさほど普及していないようですsta.icon
ASD
ASDの特徴として空間認識が苦手、脳内イメージの操作が苦手などが挙がることがありますsta.icon
頭の中でイメージを描けない特性を指します。描けない度合いには個人差がありますsta.icon
ASDなどが備える性質で、絶対基準で動きます。通常は外界を踏まえた上でその相対で立ち位置や振る舞いを調整するアロセントリック(相対基準)ですが、エゴセントリックは自分を基準にします。ビジュアルはアロセントリックの感性で秩序立てられたものであると考えられ、エゴセントリックはそれをそのままスムーズに理解しづらいと考えられますsta.icon 総合評価
現行研究の“上位カテゴリ”として提唱する意義はあるが、疾患・障害単位を主張するにはエビデンス層が未整備。
よりわかりやすい説明
“音痴/方向音痴のビジュアル版” と伝えれば直感的。
弱点
境界が曖昧:NVLD・DTD・アファンタジアなどとオーバーラップし、診断基準が不鮮明。
その他の類似概念
Developmental Topographical Disorientation (DTD) ——健康児者でもひどく迷子になる症候群
もう一つ、Picture Blindnessという言葉が出てきましたが、ググってみた限りでは怪しいです。「**Picture Blindness(ピクチャーブラインドネス)**とは、図や写真、イラストなどの「視覚的な情報」を理解したり、意識したりできない、あるいはしない状態・現象を指します。情報提示の現場や教育、認知心理学などでしばしば用いられる専門用語です」だそうですが、その形跡が見当たりませんsta.icon
概要
ビジュアルとは:
絵や図のこと
特にパワポなど専用のグラフィカルなツールでないとつくれないような、複雑なものを指す
アビジュアルの性質
ビジュアルをそのままに理解することができない
ビジュアルを自分でつくることができない
既存のビジュアルを修正することができない
アビジュアルに配慮する
資料は言語で説明する。少なくともビジュアルの理解を前提としてはいけない
ビジュアルをつくったりメンテナンスしたりといった仕事を与えない
応用
パワポレス
アビジュアルへの配慮はパワポ文化に通じるところがあります。ビジュアルなパワポは、情報の本質を言語的に詰めることから逃げているところがあります。実際、よほど複雑な情報か、訴求を目的としたプレゼンでもなければ、QWINCSでいうノートやウィキで事足りますし、ページズム(Pagism)も使えます。これは逆説的に、ビジュアルはそれだけ複雑で、曖昧で、頼りやすい手段ということでしょう。ハイコンテキストな日本と相性が良いのもうなづけますsta.icon エクササイズとしてパワポ縛りがありますsta.icon アビジュアルという多様性に応え始めることは、このように既存の古い概念から脱する機会でもあります。無論、今すぐ完全に脱せよというわけではなく、それ以外の新しいやり方をインストールしてみよ、と言っています。多様性は革新の入口なのですsta.icon
開発秘話
私はビジュアルを扱うのが苦手であると改めて気付きました
アファンタジアであろうことは前々から理解していましたが、もう一つ、欠けている何かがあると考えました。なぜなら、アファンタジアでも「常にアウトプットして」「それを見ながら」書き足していくことで作品を仕上げられるからです。私も文章やコードはそうしてつくっています。これをビジュアルにも適用するだけです――が、一向にできないのです。マイクラで豆腐ハウスを越えることができません。越えられない壁を感じていました
ヒントになったのがサイコパスです。特にフィクションなどカジュアルには感情がない、共感能力がないといった捉え方をされますが、通常持っているであろう機能が「無い」ことで生じるものがあるのです。このような構図の一種だと考えました。実際、私はビジュアルコンテンツに対する感度が極めて鈍く、そういえば普段はスルーしていると自覚しました。たとえばパワポを読むときも、ビジュアルの部分はよくわからないなと即行で読み飛ばして、表示されている文字だけ拾って、そこから意味を再構成します。煩雑な場合は、ノートなどに書いて「たぶんこういう構造だろうな」などと組み上げることもあります
ひょっとすると、これもアファンタジアの一言で説明できるのかもしれません。しかし、この言葉は広すぎますし、わかりづらいです。もう少し「ビジュアルを扱えない」点をシンプルに表現できないでしょうか――と、あれこれ名前を考えていたときに、アセクシャルが使えそうだと思いました。接頭辞の a- ですね。 a-visual はどうでしょうか。アビジュアル。調べてみても被ってないようですし、シンプルでわかりやすいです。採用しました