認知の荷物(Cognitive Baggage)
認知のはしごを昇降する際、特に抽象に上がるときに下ろすべきもの。 サムネイル:
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概要
抽象に上がるときには、「自分が抱えている文脈」を棚上げしなければならない
たとえば「この会社は~」「日本では~」といった議論を行う場合、抽象的に捉える必要があるが、自分の文脈を下ろせないと完璧主義を脱せない。「自分の文脈を完璧に表現した抽象」でなければ納得しない。無論、抽象である限り、そんなことは不可能なので、抽象自体を受け付けないことになる
この現象は「何を偉そうに」だの「新人が何を言っている」だの「浅すぎる」といった形で容易に観測できますsta.icon
この考え方は難しいが、端的にたとえると、次のとおり:
はしごを行き来するには、特に上がるには、軽くせねばならない
荷物を減らさねば or 捨てねばならない
「自分が抱えている文脈を」を荷物にたとえて、これを認知の荷物(あるいは認知的荷物)という
認知の荷物を捨てるのです。捨てるとの表現が怖いなら、棚上げする・預ける等でも構いません。とにかく降ろすことですsta.icon
名言
そりゃそんな重たい荷物なんか背負ってちゃ登れませんよ。
Q&A
Ans: 全然違います
メタ認知は自分自身を客観視することですが、認知のはしごは具体と抽象を行き来することです。実は全くの別物です
私の感覚では、メタ認知とは「ある文脈における正解的な見方と間違った見方を自覚する」ことです。正解に近づき、間違いからは遠ざかるべきとの前提があります。ですので、正解も知らないし、自分本位の間違った見方をしてしまっている人にとっては特に有用でしょう。具体と抽象の行き来はしていません。単に正解パターンを知って寄せているだけです。認知のはしごとは全く関係がないのですsta.icon
ただし、はしごの行き来によってでも間違いや正解を知ることはできますし、はしごの行き来は間違いや正解を構造的に捉える際にも役立つことがあります
開発秘話
個人的に名前は認知的荷物や認知荷が好きですし、わかりやすいですが、「認知のはしご」と語感を揃えたいので「認知の荷物」としました。わかりづらくて申し訳ありませんが、これで認知のはしごとセットで覚えやすいと思います。これも知的生産のテクニックです。直感的なたとえを名付ける場合、名前の正確性よりも、たとえているものの関連の強さで攻めた方がいいこともあるのです