コーラブル・ミーティング(Callable Meeting)
参加者を常時参加させるのではなく、呼ばれたときに参加してもらう形の会議。
背景
会議は、しばしば単一または少数のキーマンによる独壇場になりがち
たとえば1人のマネージャーと6人のメンバーがいて、全員参加の定例会議をひらいています。会議中は、主にキーマン――マネージャーひとりか、マネージャーと優秀なメンバー1人のふたりが常に喋っていて、残りの4~5人は「現在話題の対象になっている場合に限り」発言します。ひどい場合は、キーマンがひとりずつヒアリングを行い、残りのメンバーはそれをただ聞いているだけですsta.icon
独壇場モデルは典型的なアンチパターンであり、以下弊害が生じる
純粋にコストがかかりすぎる。時間的にも認知的にも
キーマンがボトルネックとなり、キーマンのリソースを取り合う政治が発生する
内職が許容され、その空気がデフォルトとなり、会議全体が「内職をしてもよい "ながら" の営み」に成り下がり、議論の密度や意思決定の質が根本的に低下する
キーマン側のよくある言い分は「チームなんだから他メンバーの状況も知っておくべき」
しかし、それはキーマン(マネージャーやリーダー)の仕事であって、メンバーの仕事ではない。責任転換や職務怠慢でしかない
仮にそれをメンバーに課すなら、マネジメントレスの自律的なチームにするべきである
この問題を軽減するための仕事術を開発しましたsta.icon
単純化のため、キーマン=1人として扱うことにしますsta.icon
概要
コーラブル・ミーティングとは:
会議開催時点の参加人数はキーマン一人か、最初のヒアリング対象を入れた二人である
参加人数が動的に変化する
用が済んだメンバーは退出する
次に用があるメンバーを呼ぶ
キーマンとメンバー
キーマン:コーラブルミーティング中は常に参加し、必要に応じてメンバーを入退室させる
メンバー:コーラブルミーティング中は連絡可能にしておき、呼ばれたらすぐに参加する
シームの最小化
次のメンバーを招集後、その人が参加して議論可能になるまでの長さをシーム(継ぎ目)という
シームの最小化は、コーラブル・ミーティング開催者の腕の見せ所である
「連絡可能とはどういう状態か」「招集の旨をどのように伝えるのか」「招集はいつ発行するのか」など多彩な戦略を考え、組み込まねばなりません。また「雑談などでダラダラせずにさっさと切り替える(退室する)」など特殊な心構えも必要とします。しかし、ここまでしてでもコーラブルの価値はあります。独壇場的な会議の弊害の、あまりに大きすぎる弊害を軽減できるなら、この程度は安いものですsta.icon
シームの最小化戦略
肉付けの代行 by GPT-5 share
感想をコメントしますsta.icon
パターン1は、まず“決着の見通し”に入った段階で予告(Heads-up)する点が秀逸です。予告により次の対象者は切り替えができます。また、誰がどの順で呼ばれるかを可視化するのも効果的ですね。
パターン2は、ステータスを各メンバーに管理させていますが、いけません。コーラブル・ミーティングではそもそも「招集が来たら即座に入る」を目指さねばなりません。パターン2では⚡=60秒以内に入室可としていますが、正直60秒でも遅いくらいです。30秒を目指したいです
パターン3は、議論のテンプレートをつくるという話であって、コーラブル・ミーティングとは関係がありません。また、これができるのであれば、単に非同期的にコミュニケーションすればいいでしょう(つまり会議すら不要です)
総評sta.icon
30秒以内に招集に応じられるような運用を提示した方が良さそうです
順番の可視化と、次の対象者向けの予告はどちらも必須でしょう
対象者各々の「呼ばれていない間の過ごし方」も整備が必要です
関連
拘束的非同期
同座しているが直接同期的なやりとりはしない、という状態
たとえば一緒の部屋にいるが、やりとりはチャットやウィキで行っているといったもの
これが可能であればこれで構いません(独壇場モデル以外にも従来会議の大部分を解消できる)。これができない場合に、コーラブル・ミーティングが射程に入ります