インスピレンサー(Inspirencer)
社内全体に対して継続的に改善や変革を啓発する役割。
Inspiration + Influencerからつくったかばん語。
概要
対象
1000人以上の大企業(またはサブ単位でも良い)において、社員全員(派遣や請負を含めても良い)に対して
啓発するネタ
社員全員に通じるような、汎用的なネタが望ましい
「ソフトウェア工学」や「行動経済学」では狭すぎます。🙏仕事術(仕事のやり方考え方あり方)は良い塩梅です。「多様性」や「働き方」や「非同期コミュニケーション」は悪くないですし、肩書きとしてはわかりやすいですが、少し狭いです。他のネタも使えるようにしたいです。理想を言えば、T字型やπ字型のように専門性がnつありつつも、広く浅い啓蒙もできることですsta.icon ただの事例や知識の紹介に終始せず、自らの知的生産物(つまりは自分で新しく言語化してつくった概念)を伝える 必要なら社内や業界のドメイン知識も踏まえた、専門的なネタをつくってもいい
プロジェクトワークやクライアントワークはしない
むしろ彼らワーカーに刺激を与えることに全振りする
一方で、ワーカーの文脈(ドメイン知識)を知ることは多くの場合有益なので、必要に応じて知りに行ってもいい
発信方法の例
ブログなど静的な記事として発信
オフィスアワー(時間枠を設けて誰でもウェルカム)
フォーラムや質問箱を設けてコメントを受け付ける → 非同期的に回答して公開する
ポッドキャストや作業配信などライブ配信、またはアーカイブ配信
勉強会や交流会などのイベント
もくもく会など集まりはするが喋らないイベント
集まるが直接会話はしないイベント
etc
ITOバランス
Input(インプット)、Thinking(思考・言語化・知的生産)、Output(Thinkした内容の共有やフォロー)のバランスを取る
まずは1 : 1 : 1が良い
インプットもシンキングもアウトプットも、どれも怠るなと言っています。インスピレンサーは影響を与えるのが仕事なので「毎日2記事書く」「毎日配信する」くらいは当たり前にできねばなりません。しかし、それだけだとネタも尽きますし偏りますから、社内外からのインプットも必須です。そして、何よりも革新的な概念や言語化を自らつくる必要がありますから、そのための思考時間が絶対に必要です。どれも欠かせないのです。かんたんなことではありませんsta.icon
例
そのひとつが、Thoughtworksのリーダーシップに関係するものです。Thoughtworksにおける私の役割はちょっと変わっています。管理職ではありませんが、私の考えを示すように求められるのです。
おそらくネタはソフトウェアエンジニアリングネタに絞られるでしょうが、社内全体に発信を行ったり、いつでも相談を受け付けて答えたりしているはずですsta.icon
違い
Q: チャンピオンとの違いは?
チャンピオンとは、SaaSなどを売りたいA社と顧客のB社がいるとして、B社側社員のうち「A社製品の導入を推進する人」を指します。社内啓発というよりは、単に内部協力者・推進者にすぎません
例:
Q: エバンジェリストとの違いは?
エバンジェリストとは、社外に向けて、自社製品または自社プレゼンスを売り込むために発信活動を行う役割を指します。いわば「顔」です。特徴は二つで、特定のテーマを必ずぶら下げていることと、社外を指向していることです
対してインスピレンサーは、重点テーマをぶら下げることはありますが特定テーマのみとの制約はなく、何を使うかはインスピレンサーが決めます。また、社外ではなく社内を指向します。社外に向けるフォーマルな手間を廃して、その分、社内での発信と盛り上げ(そしてもちろん自身の勉強や思考や試行)に注力します
Q: ●●推進者との違いは?
推進者は推進に責任を持つ者であり、社内の複雑な状況を見極めた上で、上手く政治を行って「実際に少しでも推進を進める」ことにコミットします。その性質上、わかりやすい影響力(知名度や優れた実績)、社内での人脈、色んな人を巻き込んでいけるプロデューサー資質などが必要です
そもそも推進者が求められる背景として「組織が大企業病に陥っており推進が高難度」なことが多いです
対してインスピレンサーは、単に深く検討しわかりやすく言語化したものを広く発信し続けるだけです。やりとりは行いますし、必要なら深く潜って取材もしますが、政治は行いません。むしろ、組織に寄り添わず、純粋な言語化と理想論で社内全体を、社員全員を殴ります。殴って目を覚ます、火を付けるのがインスピレンサーの責務です
背景
これを進めるためには、明らかに専任者が必要だ。なぜなら、従来これを担うであろう経営者は多忙である上に、向いてもいないからだ。経営者は経営の役割であって、改善や変革、その啓発に優れているわけではない。あるいは、できても経営者のメンタルモデル(自らの性能と熱意に依存した資本主義的なワーク至上主義と行動至上主義)だけである
軽視を終わらせるために、私は社内エバンジェリスト|仕事術2.0という概念をつくっていましたが、これは通じづらいものでした。あるとき、例として示したMartin Fowlerの和訳が目に入って、このことを思い出したのです。わかりやすい言葉を改めてつくってみよう、と。そうしてinspiration + influenceのかばん語をつくれば良さそうだとたどり着き、生成AIと壁打ちしてかばん語のバリエーションと向き合いながら、最終的にシンプルなインスピレンサーにしましたsta.icon