權利能力なき社團
以下は、日本法・判例に基づく確立した範圍の議論です。 ただし、あなたの問ひに完全に對應する「代表者の定めがある權利能力なき社團が、その名で公表した著作物」に關して、著作者人格權・著作財產權の双方を包括的に扱った最高裁判例は存在しません。したがって、以下では近接領域の判例と著作權法上の一般理論を整理し、そこから歸結しうる取扱ひを述べます。 結論の要約
ただし、著作物が團體名義で公表されることに團體構成員の默示の同意がある場合、構成員個人が「實名・變名の表示」を爭ふ餘地は原則として失はれる (=名義表示の人格權行使が制限される)。
他の人格權 (同一性保持權・氏名表示權) についても、團體の內部規範や慣行により、構成員の行使は實質的に制約され得る。
2. 著作財產權 (基本的に團體に歸屬させることが可能)
權利能力なき社團にも財產主體性は認められる (最高裁昭和 39 年 10 月 15 日判決)。 團體の名で創作・公表され、かつ團體の活動として創作された著作物は、默示の合意または內部規則に基づき團體に著作財產權が歸屬すると解されることが多い。
■ 最高裁昭和 39 年 10 月 15 日判決 (いはゆる「町内会判決」)
權利能力なき社團であっても、代表者の定めがあり、團體としての組織を備へ、意思決定ができる場合は、團體名義での財產歸屬を認めうる。 事件番號
昭和35(オ)1029
判示事項
裁判要旨
一 法人 (persona ficta)に非ざる社團が成立するためには、團體としての組織をそなへ、多數決の原則が行なはれ、構成員の變更にかかはらず團體が存續し、その組織において代表の方法、總會の運營、財產の管理等團體としての主要な點が確定してゐることを要する。 參照法條
民法 33 條
民訴法 46 條 (令和 7 年 7 月 22 日施行 29 條)
この判例に基づき、權利能力なき社團は①名義上の主體性 (訴訟上の当事者能力) ではなく、②財產主體性を持つことが確立しています。したがって著作財產權も「財產」である以上、社團に歸屬することが可能になります。 2. 著作財產權の歸屬 ― 團體に歸屬しうる
■ 團體名義で創作された著作物の歸屬に關する判例傾向
直接の最高裁判例はないものの、近接する下級審判例・學說からは以下が確立してゐます。
團體の構成員が團體の目的のために創作した著作物
公表も團體名で行はれてゐる
創作過程・資金・指揮監督が團體に屬する
この場合、著作財產權は團體に歸屬する默示の合意があると推定されるといふ判斷が繰り返し採られてゐます。
■ 類推される主要判例
最判平成 19 年 7 月 20 日「ヤングジャンプ事件」
(出版社に著作財產權が歸屬するとされた事例。團體ではないが、組織の指揮監督下で創作された著作物の財產權歸屬を議論してゐる。)
※この事件が見當たらない。類似する事件も少なくとも Web には見當たらない
團體著作物についての下級審例(学校敎育活動・委員會報吿書等)
■ 結論 (著作財產權)
權利能力なき社團において、團體名で公表した著作物の著作財產權は、團體に歸屬すると扱はれるのが一般的です。 3. 著作者人格權の歸屬 ― 原則として自然人に歸屬
■ 最高裁の基本立場
最高裁は一貫して :
著作者人格權は讓渡不可 (著作權法第 59 條)
著作權法第五十九條
(著作者人格權の一身專屬性)
第五十九條 著作者人格權は、著作者の一身に專屬属し、讓渡することができない。
著作權法第十五條
(職務上作成する著作物の著作者)
■ 團體名義で公表された場合の人格權との關係
では、公表が團體名義なら個々の構成員は人格權を行使できるのか? ここで參考になるのは以下です。
■ 最判平成 14 年 2 月 14 日 (氏名表示權・匿名の實務)
最高裁は、著作者自身が「匿名・變名で發表する意圖」をもって公表した場合、事後的に實名表示を請求することは權利濫用となり得ると判示。
※この事件が見當たらない。類似する事件も少なくとも Web には見當たらない
民法一條第三項
(基本原則)
第一條 私權は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 權利の行使及び義務の履行は、信義に從ひ誠實に行はなければならない。
3 權利の濫用は、これを許さない。
この理屈を團體に當てはめると :
構成員が團體の名での公表を「了解」してゐる → 氏名表示權の行使は制限
團體の統一的編輯方針がある → 同一性保持權の行使も內部規範により制約される
つまり、
■ 結論 (著作者人格權)
著作者人格權は、構成員個々の自然人に歸屬する。
しかし、団体名義で公表することに同意した場合、その用途に限り人格權の行使は大幅に制限される。
4. 綜合結論 (質問の形式に對する直接囘答)
■ 著作者人格權の扱ひ
構成員個人に歸屬する。
ただし團體名で公表することに構成員が默示的に同意してゐる場合、氏名表示權・同一性保持權などの行使は、團體の名譽・活動維持のために制限される (權利濫用の法理)。
■ 著作財產權の扱ひ
最高裁 (昭和 39 年町內會判決) に基づき、權利能力なき社團にも財產主體性が認められる。 よって、團體活動として制作され團體名義で公表された著作物の著作財產權は、默示の合意により社團に歸屬すると扱はれるのが一般的。
國稅通則法
(人格のない社團に對するこの法律の適用)