情報技術・情報產業
情報技術のなにが特異なのかに就いて、それは次元の異なるものをそのまま直接繋げてしまうことだ、と云ふ風に言ってゐたころがあった。ほとんど同じ言い回しを、好きな人の文章にあとからみつけて、悦に入ってゐたりもした。ただその曖昧さは、ずっと心に掛かってきた。
最近これは、情報技術は、人類にとってはまったく局所的でしかないことを、そのまま大域的に扱ひ得て了ふことにあるのではないかと思へてきた。人類にとって瑣末でしかないことが、そのまま現在の喫緊な課題に成り得ることを意味してゐる。これは少しだけ應用が效くが、別の機會にとっておく。
情報技術が現代產業の先端であり得るのは、手元の computer から扱へる計算量が加速度的に增大してゆくことに支えられてゐる。これにはシリコン技術に依る單一の CPU も、cloud を含めても好い。わたしたちの扱へる計算量の增大が、加速度的であること丈を擧げれば好いのではないかとおもふ。この增大が加速度的でなくなれば、情報技術は產業のほかの技術と同じように、先端ではなくなり、線形に進化してゆくだけだと思ってゐる。その次に產業のどの部分が先端に成るのかは、未だわかってゐない。
計算 (判斷) を、人閒の最も優れた〈能力〉と見做す思想を、情報技術と云ふ。然ふ考へるのが、わたしは最も好いと思ふ。其れは、超近代とも謂へる。
情報技術が現代の產業の先端である理由は、もっとも根本的には計算量の增加が加速度的であると云ふ、偶然の事實に依る。此れは勿論ムーアの法則 (Moore's law) がはじめに定式化したものだが、CPU の速度に限る必要は無い。最先端の現場で扱ひ得る計算量が、加速度的に增えてゐれば、此れは根本的であり得る。此れが成立してゐるのは、勿論必然のこととは言ひ難いが、人閒の、判斷的な部分を、最も抽象すべき部分だと認識する、現在の產業 - 國家上層の意思が、此の狀況を導いてゐることは確かだ。人閒は、現象を「認識」し、「計算」し、「判斷」し、「實行」する、然ふ云ふ「機能」を持つ。其の〈能力〉を最上と見做す考へは、情報技術と呼ぶ事が出來る。
佐賀の武雄市の市長だった人閒が、佐賀縣知事選擧にやぶれたといふので話題になってゐた。年末に有田に寄ってちょうど武雄市を通り過ぎる機會があった。わたしは元武雄市長の起こしてゐるとされてゐた事柄に關心はなかったが、失禮だがこれはたいへんな田舎だな、このたいへんな田舎に先進の經濟を直接もちこめれば、元武雄市長が支持されてもあまりおかしいことはないかなとおもった。選擧戰のポスターも見かけたが、それぞれがだういふ人閒だかわからなかったので、まあわからない、だが元武雄市長が當選してもあまりおかしくはないのかなとおもった。この元武雄市長が樋渡啓祐といふ名だといふのも今調べて確認したくらいのありさまだったから、それ以上のことはわからなかった。だが佐賀縣知事の選擧がおはって、當選した人閒の素性がつたはってくると、樋渡啓祐が落選した理由もあきらかだとおもった。地元を蔑ろにしすぎてるんだよ。そして樋渡啓祐が落ちたのは地方政治の重大な問題だとかのたまってるやつは、あらゆる文化を祕密裏に輸入して祕密の知を誇ってみせる似非人士どもとかはらないぢゃないか。地方の經濟をひっぱってゆくには地元の經濟をそのまま第三次の情報產業化してゆくしかない。都會の大企業を誘致して啓蒙しやうとしてみたり、ほかの地方とばかりなかよくしてインターナショナルを氣取ってみてもなにも起きやしないさ。ひとつまえの大阪市長選擧や衆議院選擧もさうだぜ。ほかにまともなのがゐなかっただけさ。そんなので投票率があがるわけがないんだ。ちからをこめてうつつを抜かしてゐる奴を喜んで支持するわけねえぢゃねえか。地方の政治を都會に拮抗させるには、さういふ見識をなんとかして獲得する方途をさがさなければならない。それはその地方ごとによって變はってくることがらだからだ。さういって自分はだいぶお節介になってしまった。まだまだわたし自身かんがへることがあるとおもふ。
追記 2015-02-04
先日佐賀縣に實家が有る人物に會って、この記事を讀んだといはれた。佐賀では農協に逆らっちゃだめなんだよ、と言ったので、それは佐賀は農業縣といふことだらうと聞いた。その人は、そうだと答へた。わたしとしては上に書いたことに含まれるとおもふ。
追記 2015-02-06
地元の経済を情報産業化、という所に落とし穴が。
@awapie .。oO(これはコンピュータ産業を興せといふことじゃないですよ。情報産業はことなる段階のものを変換なしにそのままつなげてしまふといふ重点があります。現在の経済においつくには情報産業の視点をもつしかないはずです。工業化はもうできないですよ。)
@ne_sachirou 産業の情報化は有る意味成長のためには必須ですが、導入時に間違えると、ひわたんとこみたいに情報産業屋の草刈場になって地元の為に全然ならないので要注意だと思うのです。
@awapie .。o(だからそれははっきり批判したんです。かういふときプログラマーは「銀の弾丸はない」といひますが、特効薬はありませんから、もう地域のたたずまいとしてひとつひとつやっていくしかないんです。)
なんなんだこいつは。ものを書いて飯を食ってるやつにもよくゐるが、こいつらには單語しかないんだ。「情報產業」といふ單語があればそれはどこにでもコンピューターをぶちこむことだとしか考へない。わたしの情報產業の定義をこいつが知らないのは當然だが、「地方の經濟をひっぱってゆくには地元の經濟をそのまま第三次の情報產業化してゆくしかない。都會の大企業を誘致して啓蒙しようとしてみたり、ほかの地方とばかりなかよくしてインターナショナルを氣取ってみてもなにも起きやしないさ。」と書いてゐるからこんな誤解のしやうが無いぢゃないか。主要な農業をそのまま情報の產業とする方途をかんがへなければならない、それは地域獨自のことだ。さう書いてある。