舟を編む
風立ちぬに近い、自分が信じたものをひたすら貫く強度がある。 一から辞書を作る(企画から完成まで)のに、20年以上かかる。 「完成する前に荒木さん、死んじゃってる可能性ありますね。」
「あのね、その可能性はお前さんにだってあるんだよ」
馬締が作業のスピードをあげる。
「おいおい、なんでやる気が出るんだよ」
長い年月を見越したプロジェクト。完成まで長く時間がかかるということは、完成した後も長く残り続けるのだろう。ひたすら単調に見える作業を続けると、スピリチュアルな状態になりそう。
定年の送別会も、大人数で派手に行われるのではなく、少人数で細々と赤提灯的居酒屋で行われるシーンも好き。辞書編集に捧げてきたというのが透けてみえる。
「辞書には一生を捧げるつもりです。ただ、怖いです。辞書作りは僕一人でどうこうできるものではなさそうで。」
馬締のフォルムや挙動が、アンガールズ田中に見えた。
項目の抜けが見つかって、改めて突合作業するところ、普通だったら泊まり込みするほどの状態になるのは労基的にアウトだろと思っちゃうけど、難局をチームで乗り越えるのもこれはこれでいいなと思う。局長が嫌なやつのままかと思ったら、差し入れ持ってきて、いいやつになってた。突合作業終わって拍手巻き起こるのも、要所要所のマイルストンをクリアしたみたいでいい雰囲気。
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