『岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。 (ほぼ日ブックス)』
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会社が経営危機になったあと、わたしが社長になって会社を立て直しますというとき、わたしは開発部門のなかでいちばん総合力の高い人だという程度の信頼はありましたから、いちおうみんな言うことを聞いてはくれました。ただその一方で、基本的に会社には社員からの信用がないんです。というか、経営危機に陥った会社というのは、社員から見たら不信のかたまりですよね。だって、「会社の指示に従って仕事をしていた結果がこれか?」と思って当然ですから。 ですから、わたしは社長に就任したとき、1ヵ月ぐらいかけてひたすら社員と話をしたんです。そのときに、いっぱい発見がありました。 自分は相手の立場に立ってものを考えているつもりでいたのに、直接ひとりひとりと話してみると、こんなにいろいろな発見があるのか、と思いました。当時は、なにが自分たちの強みで、なにが弱みなのかをわかろうと思ってやったことだったんです。それがわからないと、自分は社長としてものを決められないですから。 HAL研究所の社長だったときの面談は、半年に1回、社員全員と話していました。多いときには80人から90人ぐらい。時間はひとりあたり、すごく短い人で20分ぐらい、長い人で3時間ぐらいです。それを6年か7年ぐらい続けていました。 最初に社員全員と話をしたとき、「面談してはじめてわかったこと」がものすごく多かったんです。それまでもふつうにコミュニケーションできていたと思っていた人でも、一対一で面談するとはじめて語ってくれることがある。変な言い方になりますが、「人は逆さにして振らないと、こんなにもものを言えないのか」とあらためて思いました。 わたしなんかはわりと、相手に機会をつくってもらわなくても、機会を自分でつくって伝えればいい、と思っているほうです。自分のような人の集まりなら、面談は要らないでしょう。必要なことは必要なときに相手に言いますから。でも、みんながみんな、そうではありませんよね。 わたしは、自分がどんな会社で働きたいかというと、「ボスがちゃんと自分のことをわかってくれる会社」や「ボスが自分のしあわせをちゃんと考えてくれる会社」であってほしいと思ったんですね。
新しく社会に出たばかりの人は、いろんなことを知らなくて当たり前なんですから、「知らないことを恥ずかしがらない」ということがすごく大事です。 「オレってけっこう賢いでしょ?」って思わせるようなことは、先輩には、みんなバレます。
飾るな
賢いふりするな
プロジェクトがうまくいくとき
どういうときに企画がうまくいくかというと、最初の計画では決まってなかったことを、「これ、ぼくがやっておきましょうか?」というような感じで誰かが処理してくれるとき。そういう人がたくさん現れるプロジェクトは、だいたいうまくいくんです。逆にそういう現象が起きないときは、たとえ完成したとしても、どこかに不協和音のようなものがあって、あんまりよくないんですよね。
余談ですが、わたし、いまよりずっと若いころ、自分がものすごく忙しく感じていたころに、「自分のコピーがあと3人いればいいのに」って思ったことがあるんです。でも、いま振り返ると、なんて傲慢で、なんて視野の狭い発想だったんだろうって、思うんですよ。だって、人はひとりひとり違うから価値があるし、存在する意味があるのに、どうしてそんなこと考えちゃったのかなって、恥ずかしく思うんです。
正しいことよりも人が喜ぶこと
自分が注ぎ込んだ苦労やエネルギーよりも、ご褒美のほうが大きいと感じたら、人はそれをやめない。だけど、返ってきたご褒美に対して、見返りが合わないと感じたときに、人は挫折する。
つまり、才能というのは、「ご褒美を見つけられる能力」のことなんじゃないだろうかと。 「なしとげること」よりも、「なしとげたことに対して快感を感じられること」が才能なんじゃないかと思うんですよね。いってみれば、ご褒美を見つけられる、「ご褒美発見回路」のようなものが開いている人。
事実と仮説をぐちゃぐちゃに混ぜた意見を押し通してしまうことが多いんですね。 宮本さんの特殊なところは、自分のこだわるところでは、めちゃめちゃわがままである一方、はじめてそれを触る人がどう感じるか、ということをものすごく冷静に見ていて、「お客さんに伝わっていない」とわかったら、さっと引いて別の考えをめぐらせるんです。 いままで近くで見てたのを、突然ものすごく遠くから見てやり直すというか。虫メガネで見ていたかと思うと地上1万メートルからもう一回見直してみたり、そういうことを、ものすごく速くできる。