PARC Audio
PARC Audio のウッドコーンのユニットを収めた以下のスピーカーを所有している。最も売れている10cmのユニットを持ってないものの、PARC Audioの限定版ではないユニットを一通り聴いたとみなして、感想を述べると、
PARC Audioのユニットは、2010年代後半以降の8〜10万円台の市販スピーカーの情報量(解像度、空間再現性)に追随できていない。
艶のある、それでいて落ち着いた独特な音色
意外なほど、ピアノの音色がとても自然で、違和感なく聴ける(ピアノの音色を再現できないスピーカーが意外と多いので、PARCの長所だと言える。)
低音が豊かで、どちらかというと、ニアフィールドでの利用を意識した設計
敢えて厳しい意見から書いた。私は、MarkaudioやScan-Speak、Fostexなどといった他の同価格帯のフルレンジ・ユニットというと、9cmユニットのAlpair6Mのみを持っているが、この10年前にリリースされたAlpair6Mの実力はPARCを凌駕しており、2万円程度の7Lのバスレフ・エンクロージャーに収めるだけで、今の10万円以下の市販スピーカーと超えようかという音がする。なので、Alpairを聴いている人がPARCを聴いたら、がっかりするのではないだろうか。
それでも、いくつかPARC Audioのユニットを試したのは、ピアノの音色が良いからだ。少し低音を強調しすぎていると思うが、ニアフィールドであればむしろ音痩せを防ぐ意味で良い。また、情報量不足といっても、ピアノ1台の演奏を聴く場合には問題にならない(ホールの反響音まで聴きたい場合は別だが、私はピアノ演奏にそこまで求めてない。)。
パイン集成材のエンクロージャがよくあっており、すっきりとした自然な響きが魅力で、アドオンのツィータを足すとスケールの大きな音になる(空間表現力が増し、中音、低音の質感も増す)
ウーファーにしているウッドコーンが素晴らしいが、ツィーターがいまいち
小音量、ニアフィールド向けに低音を強化。
もうひとつ、MarkaudioやFostexのエントリーモデルの品質はいまいちで、がっかりすることが多い。PARC Audioはラインアップが少ないが、今販売されているものは、どれも「そこそこ」の水準なので、オーディオの泥沼にしっかりはまっている人でなければ、8cm以上のどのユニットを選んでも「これでOK」となると思う。さらに10cm以上のユニットを選べば、5万円以下で現在市販されている同価格帯のスピーカーを優に超えるものを作れるはずだ。PARCの価格設定は良心的なので、予算に合えば、選んで損はないと思う。音色は独特なので、嫌う人もいると思う。