OM-OF101
#日記 #2023年 #5月15日 2023年5月-15 19:33
#日記 #2024年 #12月21日 2024年12月-21 05:57 翌1月にかけて、Hornrespを使ってダブルバスレフのシミュレーションを試みた。
オンキヨーの家庭向けオーディオ機器部門がVOXY-シャープに事業譲渡(※)される1ヶ月前の2019年8月にオントモムックの付録として世に出されたスピーカー・ユニットで、斬新なデザインが採用されており、歪みを抑え、中音を充実させている。
※: 現在は、オンキヨー&パイオニアテクノロジー株式会社
以下、オントモムック 2019年版のユニット紹介説明。
ユニットの振動板には特許出願中技術である「バイオミメティクス」技術が採用されています。生物が進化の過程で得た機能・構造を採用したというもので、本ユニットではトンボの翅脈の模様が表面にデザインされ、また五角形を回転させた湾曲状のフォルムは貝殻からヒントを得たものです。これらにより軽くて丈夫という振動板の理想に近づき、振動板の共振を分散させて高域特性を改善、再生帯域を広げています。また振動板を支えるエッジは渦巻き形状で、振幅時の音響負荷を対称として歪みの低減をはかり、エッジからの不要音も低減させています。
これらの技術は、オンキヨーが「音楽を通じて人を幸せにしたい。伝えたいのは音質ではなく、音楽の本質」との思いから開発、採用されました。
table:spec
Z (Ω) SPL (dB) F0 (Hz) Qts Vas (L) Sd (cm^2) mms (g) Xmax (mm) Qes Qms Re(Ω)
6 86.0 92.00 0.670 2.26 50.30 4.5 0.8 4 5.2
T/Sパラメータのことがまだ分かっていないのだが、Qesが大きいと、電気的な制動が不足?であれば、箱の容積を大きくとり、ダイアフラムがしっかり振動できるようにする必要がありそう。
入手
中古のユニットをエンクロージャとセットで1万円未満で入手した。最近ヤフオクでは、ユニットだけで1万円を超えることが多かったので、お値打ちである。そろそろ5年目も近づいてきたので、賞味期限切れなのかも知れないが。エンクロージャもオントモムック付録のダブルバスレフだが、しっかりと塗装されており、端子もバナナプラグ対応のものに換装されており、丁寧に作られていた。
所感
ユニットは中音重視。Scan-Speak 5cmと同様(?)のすっきりとした音である。
ダブルバスレフで中音を充実させている。容積をかせぐために、バッフルと背板以外を、5.5mmと薄くしてコストを抑えており低音の箱鳴りは否めないものの、ラッカーで塗装して箱鳴りを抑えており吸音材も適正で、思った以上に嫌な音を出さずに鳴ってくれた。譲っていただいた方の丁寧な作りに感謝。
OM-MF519やScan-Speak 5cmのユニットとセットで売られた付録エンクロージャは、容積が足りずユニットにマッチしていなかったし、どちらもMDF独特の響きがしていた。容積を大きくしたことと、ペンキ塗装の双方が箱鳴りを抑えるのに効果あるのかも
その後も何度か聴いたが、聴けば聴くほど気に入ったので、その後のONTOMO Shop スピーカー自作キットのセール販売にてユニットとエンクロージャーキットを追加購入。現状、ストック状態だが、私はダブルバスレフを作ったことがないので、アレンジして楽しむ予定。
Woody&Allen工房さんのようにバスレフと切り替えられるようにしてみようかな: https://woodyallen.hatenablog.com/entry/2021/08/27/195319
もっとも、Woody&Allen工房さんは、リア・バスレフがお勧めのようです。
以下にONTOMO MOOK本エンクロージャのシミュレーションの経過(未完)
ONTOMO MOOK本付録のダブルバスレフ
Hornrespのシミュレーション
https://gyazo.com/2736acbd726f5c822a461cc331751f39
ONTOMO MOOK本に記載のパラメータを使用、Lcは後で修正予定だが、あまり影響ない?
箱のジオメトリは、Ontomo shopで公開されていた商品説明書の図面より。
https://gyazo.com/2a0426bd35d0c66435f3f692b55efad2
周波数特性、軸上??m想定。 ダクトとユニット間の距離を0cmとしたので、実際には、ダクト由来の音とユニットからの直接音の干渉で生じるディップはもっと抑えられるはず。2kHz付近の共鳴はとれるんだろうか??
150〜180Hz付近にディップ:  ディップの幅は十分狭くて良いと思うが、周波数はどうなのだろうか?
ぱっと見、このシミュレーション結果通りなら、上々ではないでしょうか。吸音材を詰めてディップや定在波を抑えて、あとは、5.5mmしかない側板を補強する、9mmしかないフロントバッフルを補強する、くらいで良い音になりそう。
https://gyazo.com/25385da4aac96b98900557417c1081df
実際にはできないけど、LC1,LC2を19.7→19.8cm, LP1(第一ダクト長) を2.4→1.2(cm)にするとディップは多少減る。(そんな精度で工作することは期待できないので、吸音材による調整が現実的な対応。)
ただし、ディップの周波数が大きくなった。低音の厚みをとるか、ディップをより低音側に追いやるほうがいいのか、という選択になるのか?ということなのかも、よく分からないので、実際に作って聴き比べてみようと思う。
900Hzのディップは、定在波かとおもったけど、ダクト由来の音とドライバからの直接音が干渉して生じているみたい(ダクトから定在波が漏れて干渉している?)。
第一ダクトの設定がよく分からないが、周波数特性と群遅延の両方のバランスの良いところを探す感じ.
HornrespでダブルバスWizardで、Path(外側ダクトとユニット間の距離)設定の方法が分からなかったのだけど、Power表示時にOthersを選ぶと設定できることが分かった。後続のシミュレーションで調整してみよう。
キットの板をなるべくそのまま使う場合で、箱のサイズを変えずに気室の仕切り板の位置を変えて第一気室を小さくした場合(Lcを変更する必要あることに気付いてなかったので、後日修正します。)
https://gyazo.com/e9efd0c8558e8218a49771cf7467d0ab
Vc1=2.0(L), VC2=4.89(L)
ディップの幅が大きくなってしまった。ディップの周波数が高すぎる?
バッフルステップを考慮したらちょうど良い感じに思えるが、200Hz付近のギャップが大きすぎるか?あと低音の伸びも減退。遅延が、ピーク値で25msまで抑えられるのだが。あと第一気室が小さいのでダイアフラムの動きが阻害されてOM-OF101の良さが失われる恐れあり。あと、まだ計算していないが、バッフルにユニットを取付可能なのか、という疑問も。その点からすると気室を分割しないバスレフの方が良さそうな気もする。
群遅延を多少は抑えることが可能
https://gyazo.com/a903718c9617fd8948452c63bff29c04
逆に第一気室を大きくした場合(Lcを変更する必要あることに気付いてなかったので、後日修正します。)
https://gyazo.com/e408dfdedc1ac94a7b3852f38824089c
VC1=5.0(L), VC2=1.89(L) (変動幅はおおむね上のケースと対称だが、第二気室はユニット置かないので、VC1を入力しやすい値にした)
200Hz付近は、ディップと共振があるが、吸音材多めに入れることにして、第一気室大きめの方が素性がいいような気がする。
2kHz付近のディップが、すべてのモデルで発生しており、本当にこの通り残ると困るのだが、実際のところはどうなるんだろうか。吸音材の材質によってはとり切れないような気もするんだが。
低音がオリジナルよりほんの少し伸びるが、特性は悪化しF2付近を制動できなくなってきている。バッフルステップを考慮すると、100Hz以下は減衰しすぎ。なので、このモデルはないかな。ひと箱分、作ってみようとは思ってるけど。
後述のバスレフのシミュレーション結果と比較すると、バスレフの特性を残しつつ、低音を10Hzほど伸ばした感じで、そのトレードオフとして、150Hzくらいに第一ダクト由来のディップができる。
https://gyazo.com/acf569e718cbd5fc625163b9d2509cd2
インピーダンスカーブ。私は、共鳴周波数が50Hzと150Hzくらいのダブルバスレフのカーブっぽいと思うだけで、それ以上のことは何も分かりません。
https://gyazo.com/efc21bd05b6cc9174c205a89fc9fc894
遅延はかなり大きい。
10Hz低音を伸ばした代償としては、ディップよりもこちらの方が痛い気がする。ただ、低音が50Hzまで伸びるのと60Hzまでにとどまるのとでは聴感上の違いが割とあるので、どんな音になるのか分からない私には、結局作って聞き比べてみないことにはどちらが良いのか分からない(切り替え式にするという選択は、評価目的か、あるいは、どちらもそこそこ良い音がすると分かっている場合)。
ダブルバスレフの設計方法は、まだまだ手探り段階だが、まずはWinISDなどを使ってバスレフの適正モデルを作り、そのバスレフモデルのジオメトリ(全容積)をもとに、第一気室(ドライバ側)を小さくしすぎない程度(OM-OF101の場合は、バスレフ適正容量より少し小さめの3~4L程度にして低音に制動をかけて中音が気持ちよく出るように)に第二気室(外部ダクト側)より小さめに気室を二つに分けて、次に、第二気室のポート調整(OM-OF101の場合は、ほぼバスレフの共鳴周波数-10Hz)をしてから、気室の縦横比を調整しつつ、最後に第一気室のダクトを大胆に変えて、第一共鳴周波数周りの凹凸やディップを減らす、という手順でダブルバスレフのジオメトリを見つけ出す、という感じ。
箱の全体の容量をバスレフ適正容量上限近くの11L程度に増やしてみたが、その場合も、遅延の比較的少ない気室容量配分、共鳴周波数設定を見つけることは可能のようだ。OM-OF101のダブルバスレフの場合で、このシミュレーションに用いたパラメータでは 35ms が目安のようだ、気分的にはもっと小さくしたいがユニットのパラメータがいい加減なので、上下左右の絶対値の精度が怪しい。
第一ダクトまわりのディップはシビアなので、シミュレーション通りにはいかず、吸音材まかせになりそう。HornrespのダブルバスレフWizardは、吸音材に対応していないので、そのあたり実機調整が必要。
生方氏のDB30のhornrespシミュレーション(MOOK本記載の図面をもとに)
https://gyazo.com/fbc38a2b67bbae6b581945ceafe6c79b
4.5L + 4.5L
https://gyazo.com/8ecc28294c1c96a475a2fb41be7ef8f2
総容量が増えても、100Hz付近の音圧の膨らみが解消しない。が、むしろ、そのほうがバッフルステップ補償せずに手軽に低音を伸ばせる、ということなのかも。
ディップは、130Hzあたり。
仮にダクトとポート間の距離を20cmに広げることができた場合。あー、これ良い感じですね、MOOK本とあまり変わらないですが、容積が大きい分若干低音が伸びます。
https://gyazo.com/c726133cd59f3d0bad4b375ffaa9eb32
https://gyazo.com/e5c7209043a7311b9a3e821426c24d97
F1=130Hz, F2=45Hz (5Hz刻みで読みとった)
https://gyazo.com/9ef376964fb1f501c026dffc7348432b
40Hzの遅延は無視して良い気がする。低音を40Hz以下まで伸ばし切ってしまうのは手かも。
上記のONTOMO MOOK付録箱をシングルバスレフとして使った場合
WinISDシミュレーション (6.3L@65Hz)  
https://gyazo.com/d9dca3f195380f3f8fd3f357cefaf9f1
遅延
https://gyazo.com/f66d71f77cb3f27ac9e7aa179733cd38
箱がちょっと小さいが、群遅延を抑えた設計。ダクトはφ2.8cmx4.9cmで上のダブルバスレフとダクトが同じと言って良い。
ダブルバスレフとの切り替え式にする場合に、バスレフ側はそれほどシビアでないので、ダブルバスレフ側に切り替え部分の容積変更に対する微調整が必要か検討。
ちなみに、プロットの薄い線のC4 Chebyshevは、10.55L@57.95Hz設定。8〜12Lくらいが通常設計のOM-OF101用バスレフ箱だと思います。ユニットの設計思想からすると、低音を伸ばすよりも、中音を良くする狙いで容積を増やす感じ。ML-TLも良さそうなので、シミュレートする予定。
個人的には、バスレフでいいじゃんとなりそう。ダブルバスレフは難しい!
Hornrespでは?
https://gyazo.com/651f1e6ac77bb03510f8c07b1e359c19
https://gyazo.com/73297886829a1f4f624924dc2527ebd1
若干低音が伸びているのは、たぶん、ポート長が若干違うからで、実質WinISDと同一結果との認識。音圧変化が倍くらいあるが、それはユニットのT/Sパラメータ入力値があてずっぽうだからか。
同じく群遅延の評価結果もポート長の違い、かな。
https://gyazo.com/3ca58cab7dbe4ef7ff77bf972e5b9d86
Hornrespのバスレフ・モードのGUIはめちゃくちゃやる気なしで、パラメータ調整用のWizardがない。パラメータ検討は、事前にWinISDなどでやってください、という感じ。Hornrespで求めた他のアーキテクチャのシミュレーション結果と比較することが目的で備えられた機能に思える。
フィルタをかけられるのが良いかも、バッフルステップ補償のパラメータもなんとなく予想つくかもしれないし、そうでないかも。
VituixCADを用いた周波数特性予測
https://diy-audiospeaker.sub.jp/2021/08/19/om-of101_1/
バッフルステップ補償が必須な感じです。