自己決定理論
自己決定理論の動機づけの状態の区分に基づいた動機付けの型(調整スタイル) 外的調整: 学習することに価値を認めているわけではないが、他者からの賞罰による働きかけなどによって学習する場合 取り入れ的調整: 他者からの明確な働きかけはないが、不安や義務感、あるいは自己価値を維持するために学習するといったように、他者からの統制感をもつような場合 内的調整: 学習すること自体が興味の対象となっており、面白さや楽しさといったポジティブ感情を伴って自発的、自律的に学習を行うような場合 この4つの調整スタイルと学習の質との関連を調べた研究が数多く行われている
外的調整のような他発的で他律的なスタイルの者は、学習の際の工夫がなく、学習内容をそのまま暗記しようとする傾向がある
内的調整のような自発的、自律的なスタイルの者は、学習内容を関連した既有の知識と結びつけたり、学習内容間を関連づけたりするといった理解を促進するような工夫のある学習法をとる傾向があるという
これまで内発的動機づけと外発的動機づけを正反対の概念として対比的に述べてきたが,最近では,両者は必ずしも対置されるものでなく,連続帯状にあるものとして位置づけられている。 ライアンRyan,R.M.らは外発的動機づけが自己決定の程度により分類できるとする自己決定理論を提唱した。 彼らは,まずまったく自己決定ができない段階として外的調整の段階を挙げる。これは外的な力によって当事者の行動が動機づけられるもので学習意欲とはいえない。 次には外的圧力でなく,「不安だから」とか「恥をかきたくないから」といった消極的な理由ではあるが自ら行動する場合で,取り入れ的調整の段階である。 次には自分の価値として同一化するもので「自分にとって重要だから学習する」という取り入れ的調整の段階よりも自律的な理由で行動するもので,同一化的調整の段階といえる。 さらには統合的調整の段階で,選択された行動が選択されなかった行動となんら矛盾することなく個人の日常活動や価値づけられた目標と調和する場合である。 このように同じ外発的動機づけとよばれるものにも自己決定のレベルがさまざまなものが含まれているのである。ただし,これらの動機づけはあくまでやること自体が目的的な内発的動機づけではなく手段的なものであるということは共通している。しかし,自己決定のレベルからいえば統合的動機づけも内発的動機づけもそれほど差異はないといえる。その意味では二つの動機づけは自己決定の度合いでは連続帯状にあるともみなせる。