精緻化見込みモデル
説得を考える上で、よく参照されるモデル
精緻化とは、説得の受け手が、送り手から発せられた説得メッセージをどの程度よく考えるのかということであり、その程度がいくつかの条件によって変わることがモデル化されている このモデルでは説得へと至る過程に精緻化の度合いによる2つのルートが想定されている
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中心ルート
人々は説得メッセージの内容について注意深く、じっくりと考える
メッセージに含まれる議論の論理性や説得力に注目するとともに、取り上げられている事実や証拠にも目を向け、関連する経験や記憶があれば想起する
中心ルートではこのような精緻化によって説得が起きるか(態度や行動が変容するか)否かが決まる
したがって、広告の場合、その広告の中で紹介されている商品の特徴に関する説明に最も注意が割かれ、検討されることになる
周辺ルート
メッセージの内容とは関係がない表面的な特徴が注目される
メッセージがどれくらい長いとか、メッセージの送り手(広告モデルなど)が魅力的かどうかといった本質的ではない手がかりが注目される
いずれのルートをたどるかは説得の受け手にまつわる2つの要因によって規定される
説得メッセージに時間や労力を注ごうとする動機づけ
メッセージを処理する能
態度変容が迫られる対象がその人と個人的な関わりが深いものである場合や、説得の受け手がもともと深く考えることが好きな人である場合(認知欲求が高い場合)には、受け手の動機づけは高くなる しかし動機づけが高くても、それだけで中心ルートを経由するわけではない
疲労や騒音などによって思考が妨害されたり、メッセージの内容が不明瞭だったり、事前の知識がなく、理解しづらかったりする場合などは、深く考えることを妨げられるために中心ルートは経由されない
中心ルートが経由されるのは、説得の受け手に動機づけと処理能力の両方がある場合(精緻化見込みがある場合という)に限られる
精緻化見込みがある場合、メッセージの質に応じて認知構造の変化が生じ、態度の変容が起こる
ただし、態度変容の方向は、説得の内容と同方向とは限らず、メッセージの送り手の意図とは逆方向の態度変容が生じることもある
しかし態度変容がどのような方向に生じようとも、中心ルートを取って生じた態度変容は持続的で、それを覆すのは容易ではない
また行動にも一貫性が見られる傾向がある