熟議民主主義
「民主主義」と書いたが、そもそも、それは何だろうか。一つの答えは、「投票して多数決で決めること」である。その典型は選挙だ。これを「集計民主主義」と呼ぶ。もしも集計民主主義がなければ、特定の少数者または単独者の意思に黙って従わねばならない。投票は面倒だと思っている人でも、独裁者にすべて任せておきたいとは思わないはずだ。 集計民主主義の問題点
3人で昼食に行く時、各自の第1希望がハンバーガー、寿司、フランス料理で、かつ、第2・第3希望の順序も異なるとすると、多数決では決められない。いわゆる「投票サイクル」である。あるいは、総選挙以前の「ねじれ国会」を想起してもよい。衆参両院の多数派が異なる場合、「衆議院の優越」原則があるからといって、何でも多数決では、国会運営は支障をきたす。 「人々の意思」の質の問題
投票は匿名で行われ、いかなる理由で投票したかは問われない。有権者は、名前の書きやすさや見た目の印象という理由で投票したかもしれない。政治家は、世論調査の結果に一喜一憂する。しかし、その調査はやはり匿名で行われ、人々がどの程度真剣に考えたのかはわからないままに数値が独り歩きし、これに反すると「世論無視」と批判される。 熟議
自分の意見をできるだけ明確に述べるとともに、他者の異なる意見にも真摯に耳を傾け、納得したり自分の誤りに気づいたら、自分の意見を修正する。
集計民主主義の問題点を乗り越える可能性
投票サイクルの状態は、それぞれの見解を修正し合うことでしか解決しない
何が妥当なのか、何がなされるべきなのかについて、世論そのものの質を高め、「よく練られた世論」によって政治家をコントロールする
熟議民主主義の実践
「コンセンサス会議」(デンマーク)
「参加型予算」(ブラジル・ポルトアレグレ市)
市民討議会