標準社会科学モデル
1. 赤ん坊はどこで生まれようと同一であり、同じ発達的可能性を備えている
2. 一方、どこの成人でもその行動・心理の機構の個人差は非常に大きい
3. 複雑に組織化された成人の行動や心理は、赤ん坊には認められない
4. 赤ん坊の斉一性の源は生得性に、成人の複雑な多様性の源は社会・文化・習得的要因(環境要因)にある
5. 個性を形成する社会・文化的要因は個人の外部にある
6. 人間生活の複雑性や豊かさを形成するのは文化である 7. そのような文化を作り出すのは、社会であって個人ではない
8. 社会はそれ自体が自律的であり、社会・文化現象は他の社会・文化現象によって生み出される
9. 人の本性は社会的プロセス(社会化)によって満たされることを待つ空の器に過ぎない 10. 社会学の役割は社会化のプロセスの研究にあり、心理学の中心的な概念は学習である. どのような種類の文化的メッセージや環境入力も、汎目的的、半領域的に吸収されるものでなければならない 標準社会科学モデル(Standard Social Science Model、SSSM)は一般的に進化心理学の支持者によって、20世紀に社会学で発展したと考えられる「空白の石版(タブラ・ラサ)」、あるいは「環境決定論(文化決定論)」を指す語として用いられる。それらは文化を空白の石版である人の心に吸い込まれる「超個体」と見なし、進化的 / 生物的基盤に全く関わりなく人の考え、感情、行動を形作ると考える。進化心理学の理論家はSSSMが時代遅れであり、社会科学の進歩的なモデルには生物学的 / 進化的基盤を考慮した心の計算理論に基づく文化学習の新たなモデルが必要だと主張している。 今日では、ほとんどの人は「空白の石版」を信奉していない。しかしSSSMが20世紀にどれだけの範囲で用いられていたかには議論がある。進化心理学者はSSSMを「わら人形」とするために、実際よりももっと人気があったように文脈を無視して引用したと批判された。