名誉の文化
アメリカ南部での殺人率が他の地域の3倍に上ることを説明するために考案された概念
自らの強さ、男らしさについての評判が脅かされることに南部の男性が強い危機意識を持っていることと、侮辱に対して暴力で応じるといった慣習が多いことを含意している しかも、入植当初の法による統治が確立していない生活環境では、自衛のために「相手になめられないこと」が死活問題であった
それゆえ、強い男性を印象づけるため、侮辱に対して暴力で応じるという慣習ができあがり、もはや牧畜社会ではない現代に置いても、その文化が受け継がれているという
ニスベットとコーエンは、社会心理学的な実験のほか、様々な統計資料を駆使して、この仮説を検証している
南部の人々の多くは、自分自身は名誉を守るための暴力を受け入れていないにもかかわらず、他の南部人のほとんどがそれを受け入れていると信じており、こうした多元的無知の状態で、南部において名誉の文化が維持されていると考えられる。