先行オーガナイザー
先行オーガナイザーが与えられた時点でそれが既有知識となり、後続の詳細な学習内容が先行オーガナイザーに体系的に結びつくために、知識が構造化され、理解の促進がもたらされるという考え方
大学生を対象に行なったオーズベルの実験
文章で金属の性質についての詳細な事項を説明する前に、それらの事項間の関連の概要を示す文章を読ませた
読んでいなかった者よりも事後テストの成績が高まった
新しいスキーマをつくる種類のオーガナイザー
新しい学習内容に関連する既有知識を使い、両者の類似点や相違点を示すもの
アメリカの大学生にとって馴染みのない仏教の考え方を説明する文章を読む前に、仏教とキリスト教の考え方を比較する文章を読ませておくと、読ませなかったものよりも事後テストの成績が高かった
先行オーガナイザ(Advance Organizer)とは、学ばせたい知識を整理したり対象づけたりする目的で、 当該知識に先立ち(先行して)提供する枠組み(オーガナイザ:組み立てを助けるもの)を指す。 オーズベルによって提案された教授法で、最も有名な例は、仏教のことを学ぶアメリカ人学生に対して、 予めより身近なキリスト教についての知識を想起させ、仏教の○○はキリスト教では△△にあたる、という具合に比較して説明したもの。 ここでは、学ばせたい知識=仏教のことに対して、予め思い出させたキリスト教の枠組みを「先行オーガナイザ」と呼ぶ。 先行オーガナイザがあったほうが学習が進む、という研究成果は、我々が日常、何か新しいことを学ぶときに、 既に知っていることがらと比較して理解すると「うまく収まる」気がすることを考えると、「なるほど」と思える。 数々の心理学的実験の結果、後からよりも前もって枠組みを思い出させることが効果的だということから「先行」オーガナイザと命名された。
先行オーガナイザは、「有意味受容学習」といわれる種類の学習において効果を発揮するとされている。「無意味」なことを機械的に記憶するのではなく、自分にとって親しみが持てる内容を扱う場合(すなわち「有意味」)で、かつ、さまざまな事例を与えられて「ああでもない、こうでもない」と自分で枠組みを探し、創り出していくタイプの学習(発見学習と呼ばれる)ではなく、正解を整理した形で「受容していく学習」である。これをオーズベルは「有意味受容学習(Meaningful Reception Learning)」と名づけた。