ミエリン
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サイトヘジンによる髄鞘(ミエリン)発生制御機構
ミエリンとは - コトバンク
有髄神経細胞
の突起である
軸索
の周りを巻いて包む渦巻状の膜構造物で、その膜を
ミエリン鞘
(しょう)または
髄鞘
とよぶ。
髄鞘
そのものを
ミエリン
とよぶこともある。
中枢神経
では
オリゴデンドログリア細胞
(略して
グリア細胞
)の、
末梢神経
では
シュワン細胞
の細胞膜が何重にも巻き付いてできる。
これを
ミエリン形成
という。
ほかの
生体膜
と異なり、
脂質
が約75%と非常に多く、逆に
タンパク質
は少ない。
おもな脂質は
コレステロール
、
セレブロシド
、
スルファチド
、
リン脂質
、
シアロ糖脂質
おもな
タンパク質
中枢神経
では
ミエリン塩基性タンパク質
(
MBP
。別名、
起脳炎タンパク質
。アミノ酸169残基、分子量約1万8300)、
プロテオリピドタンパク質
(
PLP
)
末梢神経
では
P0
、
P2
、
PMP22
などのタンパク質
中性脂質
が多いことは、神経シグナルの導体である軸索の
絶縁体
としてのミエリンの役割と深く関係している。
有髄神経
が白く見えるのはミエリンの存在によるもので、
中枢神経系
では
白質
とよばれている。
ミエリンが脱落する
脱髄症状
のみられる難病には、
多発性硬化症
(
MS
)や
シルダー病
(
炎症性汎発性硬化症
。精神医学者
シルダー
Paul F. Schilder
(1886―1940)が1912年に最初に発表)などがある。
なお、中枢神経系のミエリンに含まれる塩基性タンパク質は、
実験的アレルギー性脳脊髄炎
(
EAE
)の抗原基をもち、
脳タンパク質
で最初にアミノ酸配列が決定された(1971)。EAEはMSの実験的モデルとされ、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の
キース
Marian W. Kies
(1915―1989)はこの分野の先駆者として活躍した。[野村晃司]