バーチャル発電所
通常、電力の需要と供給のバランスは、地元の電力会社によって監督され、運営されている。しかし、バーチャル発電所は、屋上のソーラーパネル、電気自動車(EV)の充電器、スマート給湯器などの分散型エネルギー・リソース・システムであり、これらが連携することで大規模なエネルギーの需要と供給のバランスが取れるようになる。
リーハイ大学のエネルギー・システム工学部長であるルディ・シャンカールによると、バーチャル発電所はリソースのポートフォリオを「つなぎ合わせる」方法であり、エネルギー・システムの二酸化炭素排出量を削減しながら、送電網が高いエネルギー需要に対応できるようにしているという。
バーチャル発電所の「バーチャル」の性質は、従来の石炭やガス工場のような、中央に物理的施設が存在しないことに起因している。電気を生成し、エネルギー負荷のバランスを取ることにより、集合されたバッテリー(電池)とソーラーパネルは従来の発電所の機能の多くを提供することになる。
バーモント州最大の電力会社、グリーン・マウンテン・パワー(Green Mountain Power)は昨年、補助金付きの家庭用蓄電池プログラムを拡大したことで話題になった。顧客は必要に応じて貯蔵エネルギーを電力会社と共有することに同意した場合、テスラの家庭用蓄電池を割引料金でリースされるか、または自分で購入して最大1万500ドルの支援を受けるかを選択できる。またこのプログラムを承認したバーモント州公共事業委員会は、停電時には非常用電力としての供給もできると話した。
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利点: ピーカー発電所を減らせる
送電網運用者は、年間または毎日の「ピーク負荷」、つまり電力需要が最も高まる瞬間に対応する必要がある。そのため、彼らはガスを使う「ピーカー発電所(尖頭負荷発電所)」の使用に頼ることがよくある。一年のほとんどが休止状態にあり、需要が高いときにのみ切り替えられる発電所だ。バーチャル発電所は送電網のピーカー発電所への依存を軽減できる。 多くの電力会社は、バーチャル発電所は排出量削減に加えて、消費者の光熱費も削減できると主張している。調査によると、需要のピーク時に分散型エネルギー・リソースを活用するほうが、ガス発電に依存するよりも費用効率が最大60%高いことが分かっている。
利点: エネルギーシステムへの関与を増やす
バーチャル発電所のもう1つの重要な利点は、あまり目に見えないものだが、人々がエネルギー・システムにもっと関与するよう促すことだ。通常、顧客は電気を使うだけだ。バーチャル発電所システム内の顧客は、電力を消費し、電力を送電網に戻す。この二重の役割により、送電網に対する理解が深まり、クリーンエネルギーへの移行により多くの投資ができるようになる。
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ここ数年で、太陽光発電や燃料電池など規模の小さな発電設備が、住宅やオフィスなどに広く散らばって設置されるようになりました(小規模分散型電源)。これはつまり、これまで電力を使うだけだった私たち(需要家)も、電力会社と同じように電力をつくることができるようになっているということです。 電気自動車は移動する蓄電池mtane0412.icon
これらにより、発電設備により発電した電気を使ったり、発電した電気が余っているときには蓄電池に貯めておいて、必要なときに使ったりすることができるようになり、それぞれの需要家が節電をおこなうことで電力を生み出す「ネガワット」と呼ばれる取り組みも進んでいます。
"バーチャルな発電所"とは、このような、あちこちに散らばっている発電設備などをひとつに束ねて、あたかもひとつの発電所のように利用するしくみのことです。それぞれの設備の発電量や蓄電量が小さくても、まとめて制御することで、大規模な発電所のように、電力の需要バランス調整に役立てることができるようになります。
個々をつなげるのが重要
車から家に→V2Hという言葉があるmtane0412.icon