ソマティック・マーカー仮説
ソマティック・マーカー仮説 - 脳科学辞典
ソマティック・マーカー仮説は、腹内側前頭前野(ブロードマン10野・ブロードマン11野・ブロードマン12野・ブロードマン25野・ブロードマン32野など)損傷患者での意思決定の障害を説明するためにDamasioらにより提案された。こうした患者では、知能には問題がないにもかかわらず、日常生活で適切に意思決定できない。患者では、情動喚起刺激に対する末梢の皮膚電気反応に障害が示された。こうした知見に基づき研究者は、一見情動とは関係のない意思決定においても、情動的な身体反応の信号が不可欠な役割を果たしていると提案した。
ソマティック・マーカー仮説(Damasio, 1994)
感情は現代においても、適切な判断や意思決定を導くもの
ここでいう感情とは身体的感覚を伴う一種の直感(gut feeling)であり、情動や気分とは少々異なる
ソマティック・マーカー(身体標識)
ダマシオによれば、日常生活の中での判断や選択の際に悪い結果が予見されると、合理的な推論に先立って直感的な警告信号が発せられる
多数の行動の選択肢の中からネガティブなものをふるい落とし、より望ましい選択ができると考えられている
→アイオワ・ギャンブル課題