コラム1「私達はこのような存在です」
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小田寮
大学院に進学して最初に取り組んだのはニホンザルの音声コミュニケーション
博士課程ではマダガスカルで野生のワオキツネザルとベローシファカの音声コミュニケーションを研究
原猿研究のパイオニアであるアリソン・ジョリーが言った、原猿には群れがあるが社会性がないという言葉で、社会性の進化へと今日の対象が移っていった
ポスドクになった頃、裏切り者の顔はよく記憶されるというリンダ・ミーリーらの論文が発表された
これを囚人のジレンマゲームと組み合わせて追試してみたのが、私が最初に書いた進化心理学の論文
ここ10年くらいの主なテーマは利他性
ヒトの言語コミュニケーションの基礎には、互いに協力し合って意味を伝えるという側面があるし、また赤の他人へ乗りた行動は、行動学における重要な問題の一つ
リバース・エンジニアリングの考え方からいくと、私達には利他行動に適応した様々な認知バイアスがあるはずで、そのような視点から以下のことを明らかにしてきた
ヒトは利他的な人物と非利他的な人物を表情や身振りだけで見分けられ、またそれに応じて信頼の度合いを変えられること
目の絵の刺激によって社会的交換へのポジティブな期待が喚起され、利他性が高まること
男性の赤の他人への利他行動がコストリー・シグナルとして機能している可能性などを明らかにしてきた
心の進化を探っていくには2つの視点が大事だと考えている
現代人の心を適応によって出来上がったものとして捉える視点はトップダウン的な視点とでも言える
霊長類のような共通祖先を同じくする他種との比較はボトムアップ的な視点と言える