〈コラム〉日本建築学会「可愛いを求める心と空間のあり方に関する研究WG」の活動
https://gyazo.com/225a38f4c453f85443f9716ea645f4ee
「なぜ、人々は"可愛い"ものを求めるのか、それは現代社会に心が満たされない人が少ないからではないか。それに対して空間はどうあるべきかを追求しよう」
建築物の特徴
敷地や発注者に合わせて個別に設計される
複数の利用者、時には、不特定多数が利用する
私有物であっても社会資産という側面を有する
a. 集団面接調査:かわいいを分解する
研究会の活動を初めてまもなく、かわいいという言葉が大変多義的に使われていることに気づいた
そこで「かわいいを分解する」と題した集団面接調査(グループインタビュー)を実施した
https://gyazo.com/dbc05249c6f2a79d96bdb9e79419cf1b
かわいいがもたらす結果(心理的影響)は、広範に及んでいる
発注する際に、どのような心理的影響をもたらすものであるかを明確に指示しないと、発注者の意図とは異なる「かわいいもの」が設計されてえしまう可能性がある
b. ミニ社会実験:赤象プロジェクト
心理的あるいは生理的反応の調査や計測で対象者(個体)の反応を捉えることはできるが、集団的な反応は把握できない
期間や範囲を限定して、それを実際の社会の中で適用する
赤象プロジェクトと称してオフィスや研究室に「赤い象」をおよそ1ヶ月滞在させて、集団への影響や行動の変化を調べた
1つの民間企業、7大学の研究室
c. 行動観察:かわいいを聴きに行く
「かわいいもの」に出会うと人はどのような行動をするのかを上野動物園、江戸川自然動物園、すみだ水族館、サンシャイン水族館で観察
大ざっぱな観察ではあるが、かわいいものは人を引きつける力が強いこと、かわいいものが会話だけでなく、人間同士の頭や肩をなでたりするスキンシップを促進することが印象に残った
d. 仮想商品開発プロジェクト:触感がかわいい椅子
触感がかわいい椅子を作ったらどんな椅子ができあがるだろうと仮想の開発プロジェクトを始めた
2大学の女子学生7名
使用欲求は「疲労回復」「おしゃべり」が強かった
学生たちは緊張やストレスが大きな精神負担と感じており、その対処として「かわいいもの」を求める状況が伺えた
商品としてはイージーチェア的なものがふさわしく、その素材は、柔らかさと反発力(弾性)、ぬくもり感などがポイントとなるといえそうだ
近年、感情面の疲労が社会問題化している
今回の結果は応用できるのではないか