ATP
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アデノシン三リン酸 - Wikipedia
アデノシン三リン酸(アデノシンさんリンさん、adenosine triphosphate)とは、アデノシンのリボース(=糖)に3分子のリン酸が付き、2個の高エネルギーリン酸結合を持つヌクレオチドのこと。IUPAC名としては「アデノシン 5'-三リン酸」。一般的には、「adenosine triphosphate」の下線部のアルファベットをとり、短縮形で「ATP(エー・ティー・ピー)」と呼ばれている。
所在
ATPは真核生物や真正細菌の全てが利用している解糖系でも産生される物質であるため、地球上の生物の体内に広く分布する。生体内では、リン酸1分子が離れたり結合したりすることで、エネルギーの放出・貯蔵、あるいは物質の代謝・合成の重要な役目を果たしている。すべての真核生物がこれを直接利用している。生物体内の存在量や物質代謝におけるその重要性から「生体のエネルギー通貨」と形容されている。
生合成
ATPは主にATP合成酵素において酸化的リン酸化、光リン酸化によって生じる。
$ \mathrm{ADP + P_i → ATP}
また、解糖系やクエン酸回路などでもATPは生じる。
好気呼吸によるATPの収支式については「好気呼吸」を参照
GTP(グアノシン三リン酸)については、以下の反応式でATPと相互変換する。
$ \mathrm{GTP + ADP ⇔ GDP + ATP (ΔG°’ 〜0)}
また、細胞内では、酵素(アデニル酸キナーゼ)の働きにより、ATP, ADP, AMPが次の反応による平衡混合物となっており、ATPはADPからも一部再生される。
$ \mathrm{2ADP ⇔ ATP + AMP (ΔG°’ 〜0)}
ATPの役割
ATPはエネルギーを要する生物体の反応素過程には必ず使用されている。ATPは哺乳類の骨格筋100 gあたり0.4 g程度存在する。反応・役割については以下のものがある。
解糖系 - グルコースのリン酸化など
筋収縮 - アクチン・ミオシンの収縮
能動輸送 - イオンポンプなど
生合成 - 糖新生、還元的クエン酸回路など
発光タンパク質 - ルシフェラーゼなど
発電 - 電気ウナギに見られる筋肉性発電装置
発熱 - 反応の余剰エネルギーなど
リン酸基の付加はリン酸基転移酵素(キナーゼ)によって行われる。また、ATP そのものも RNA合成の前駆体として利用されている。
また一方で、ATPは抑制性神経調節性伝達物質でもあり、活動電位に反応して神経から放出され、効果器に影響を与える。