対抗的公共圏
ハーバーマスの公共圏への批判
ナンシー・フレイザー(Fraser, 1990)は、ハーバーマスの公共圏が実は支配的集団(白人・男性・市民)に有利な単一の空間であり、そこからこぼれ落ちる人々の声が排除されていると批判
従属的な対抗的公共圏(subaltern counterpublics)
支配的な公共圏から排除されたり、周縁化されたりした集団が、自分たちの言語・アイデンティティ・価値観・要求を形成・鍛錬するための、並行した言説的空間
脱国民化された対抗的公共圏の基盤
問い: 移民や非正規滞在者など、国籍や法的資格が異なるバラバラな人々が、どうやって共同で権力に対抗できるのか?
概念
対抗的公共圏(フレイザー): マイノリティが支配的な社会構造に抗議する討議空間
創発的連帯(バトラー): 同一のアイデンティティを持たなくても生まれる、その場限りの連帯
脱国民化: 国籍・滞在資格にかかわらず機能する空間
事例:全統一労働組合
1. 社会圏(入口)
移住労働者は労働災害・賃金未払い・解雇などの問題解決のために組合を訪れる
組合は問題解決を手伝う代わりに、デモ・集会への参加を求める
→ 「動員」によって対抗的公共圏に人が集まる
2. 親密圏(核)
問題解決後も残り続ける少数のメンバーが形成
「労働者」という規範(国籍・資格を超えた仲間意識)を内面化する
全統一を「家族みたい」と表現するほどの人格的関係
→ 対抗的公共圏で「顔」を持った代表として現れる
3. 対抗的公共圏(舞台)
上の2つが基盤となって成立
外部から見ると「移住労働者の対抗運動」に見える
内部では同一性なき創発的連帯が瞬間的に生まれる