客体的自覚理論
客体的自覚理論(Duval & Wickland, 1972)
客体的自覚(自覚)状態
客我
注意が外部環境ではなく自分自身に向けられている状態の社会心理学での呼び方
鏡に写った自分を見たり、カメラを向けられたり、集団の中で少数派になったりしたときには、このような状態になりやすい
自覚状態では、現在の状況に関連した正しさの基準(自分の理想や社会規範など)が顕在化し、現実の自己との比較が行われる
そして基準に到達していないと判断された場合(負の不一致)には、自己への注意を回避するか、基準に合わせるべく行動を調整して、不一致を低減させようとする
そのため自覚状態では、向社会的行動が促進する一方で、反社会的行動が抑制される(→9. 対人行動)
例えば、権威への服従実験を模した実験
教師役(男性)が、目の前に鏡がある状態で生徒役(女性)に電気ショックを与えた場合、鏡がない場合に比べて、与える電気ショックが弱かった(Scheier, Fenigstein, & Bluss, 1974)
鏡で客体的自覚状態となり「他者(女性)に優しい自分」といった自己の理想の姿が意識化されたためだと考えられる