構造主義における数学と真理の捉え方の変容
19正規化半ばからの100年間で数学の意味が変わった
数学や自然科学は、真理ではなく、ただの制度(仮説)でしかないと受け入れられるようになった
ヨーロッパにおける「真理」は2種類あった
啓示による真理
神話、神の存在など
「神が決めたから正しい」といえる
理性による真理
数学 (特に、ユークリッド幾何学、アリストテレスの論理学)
理性(論理、証明)によって正しさを確認できる
数学における公理は、経験的な真理のような扱いになる
公理から他の全ての定理を導ける
デカルト(代数と幾何の接続)や、ニュートン(微積)の成果により、理性の時代が到来した
科学技術が進歩の軸になった産業革命、資本主義の勃興に繋がる
啓示による真理への対抗
理性の方がより真理に近づける!
ユークリッド幾何学は、たった5つの公理(真理)から、あらゆる定理を導ける
18世紀頃、ユークリッドの幾何学一強の時代
数学、哲学、物理学、あらゆるところに応用された
人間(ユークリッド)が真理を見つけたということ
しかし、人間の見つけた「真理」が「本当の」真理である保証はどこにあるのか?
神は一人だが、人間はいっぱいる
個々の人間が真理を見つけると、真理がたくさん存在してしまう
これを保証するのが、カントの批判哲学
真理は一つしか無いが、人間の認識は個々にある、
これが、真理がたくさんあるように見えてしまうが原因
人間が、唯一の真理を、認識しようとした途端に、めいめいが勝手な真理の像を描くことになる
認識が異なることは避けられない
しかし、個々の認識を持ち寄って議論することで、その結果は真理に当たらずとも遠からず、ぐらいのものを導くことができるだろう
19世紀に入り、唯一の真理だと思われていたユークリッドの幾何学が絶対のものではないことが判明した
ガウスが双曲幾何学を発見し、別の幾何学が存在することがわかった 「公理」は、数学者の間の「規約」に他ならないことがわかってしまった
矛盾が起きなければどんな公理を考えても良い
唯一の真理ではなかった
こうして次々と新しい数学の分野が生まれる
相対性理論と量子力学の発見
宇宙空間を、寧ろユークリッド空間と捉えないほうがうまくいく
ユークリッドの幾何学はここ100年間で唯一の幾何学でもない、理性の象徴でもない、となった
何が正しいかは公理(前提)の置き方によって決まる
数学に唯一の真理があると思っていたことの反省が起きる
真理を手にしていたつもりで、実は制度のうちに安住していただけ