仮説検定は背理法
仮説検定時に帰無仮説を設定するのは背理法をしたいから
ポイントは2つ
(a) 示したい仮説は「直接は計算できない形」をしている
「薬に効果がある」という主張(=対立仮説 H₁)は、効果の大きさが +0.1 かもしれないし +5 かもしれない
無限の可能性を含むぼやけた主張である
これだと確率を計算しようがない
一方、「薬に効果がない(効果 = 0)」という帰無仮説 H₀ は、ピンポイントで1点に値が決まっている
だから「H₀ が正しいとしたら、データはどんな分布になるはずか」を数式で書ける
つまり帰無仮説は「計算可能な土俵を作るための仮の前提」である
効果ゼロを基準にすると分布が確定し、そこからの“ズレ”を測れるようになる。
(b) だから仮説は直接「正しい」とは言えない
検定でやれるのは「H₀ を仮定したらこのデータは不自然すぎる → H₀ を捨てる」までである
H₁ を直接証明したわけではない
消去法的に対立仮説を支持しているだけ
背理法で「有理数だと矛盾するから無理数」と言うのと同じ
有理数 or 無理数 の2択なので、「有理数じゃないなら無理数である」 とパキッと言えるが
検定の場合は、「H₀ではない」というところまでしか言えてない
「効果は0ではない」というところまでしか言えない
効果は0.0001かもしれないし5かもしれない
この辺の量は信頼区間で判断する
また、「H₁を棄却できない ≠ H₀ が正しい」であることにも注意する
棄却できなかったとき、
❌ 薬の効果がないことが分かった
⭕️ 薬の効果があるとは言えなかった (証拠不十分)
背理法で「矛盾を導けなかった」からといって元の命題が真になるわけではないのと同じ
検定は H₀ を棄却することはできても、積極的に採択することはできない非対称な仕組みになっている