馬にパブリシティ権を認めると起こる問題
アメリカのロジャース判決では、長年にわたり自身の所有馬(トリガー)とともに映画に数多く出演し、その人(ロジャース)と馬(トリガー)との結びつきが強いため、トリガーのパブリシティ権はロジャースさんのみが有する権利として認められたとみられているようです(新井みゆき「物のパブリシティ権」同志社法学52巻3号169頁参照)
人格権に基づいたパブリシティ権の有効期限は諸説ある
①人格権に基づくパブリシティ権は、人格権の一部である以上一身専属的な権利であり、相続はされないという考え
(譲渡は可能だが死亡によって消滅するという考えもあります)
②財産権であり相続の対象になるという考え
②の立場をとると、けっこう恐ろしい事態が生じます。
たとえば、様々な偉人をキャラクター化して登場させているFateシリーズですが、もしも、パブリシティ権が相続可能な財産権ということであれば、登場させる偉人の子孫全員を探し出して、全員から許可を取らなければならないことになりかねません。
モノのパブリシティ権が死んでも消滅しなかったら、(死んだら消滅すると言う考え方が優勢の)人より保護されてしまう
誰に許可を取ればいいのか
馬の所有者?
馬は探すのがむずい(トレース不能)
日本の競走馬は引退後よく行方不明になります
いろいろ歴史見てるとそうだった
経済動物なのでいろんなオーナーを転々として最後は行方不明になる
馬肉になるケースがほとんど
競馬界では毎年約6千頭が引退し、3~4歳で厩舎(きゅうしゃ)を出される馬も多い。だが繁殖用や乗用として余生を過ごすのは一握りだ。大半は「行方不明」になっている。山本高之代表(40)は「乗馬クラブなどに引き渡されたとしても、その後は行方を追えない」と明かす。山本代表によると、引退馬の多くは馬肉としてドッグフードなど動物用の餌のほか、食用にもなっているという。
有名馬でも、年度代表馬にまでなったカネミノブが行方不明になっています
人格権に基づいてパブリシティ権を認めると
1. ほとんどの人が強固な繋がりではないのでパブリシティ権なし
2. 馬主より競走馬と大きな関りをもつの生産者、調教師、騎手の権利を認める
たとえば名馬ミホノブルボンは故・戸山為夫調教師の集大成ともいえる馬であり、「鍛えて最強馬を作る - ミホノブルボンはなぜ名馬になれたのか」という書籍も執筆されています。
この人たちの許可が必要になる