金利リスク
金利リスクとは、金利が変動することにより国債の価格が変化するリスクです 本稿は金利リスクに絞ってその内容を深掘りすることを目的としています。具体的には金利リスクの基本であるデュレーションと DV01(デルタ、ベーシス・ポイン ・バリュー(Basis Point Value, BPV)について 取り上げますが、本稿では出来る限り日本国債における実務の観点で、その内容について説明します。 次は、金利のリスクだ。例えば、短期国債でなく10年国債を買うとした場合、保有期間の途中に市場の長期国債利回りが上昇すると価格が下がって損失が発生する。
問題は、このリスクをリスクプレミアムが伴うような投資のリスクだと考えていいのかどうかだ。
短期、例えば1年を単位に投資を考えている人にはそれでいいのかもしれないが、
例えば10年、あるいはそれ以上の期間に及ぶ負債を一方で抱えている投資家にとっては、短期債よりも10年国債の方が負債に対する相対的なリスクが小さい、すなわち、実質的にリスクフリー資産に近いということが起こり得る。そう考えると、年金基金など長期の負債を伴う資金の運用者にとっては、10年国債の金利の方が実質的に「リスクフリー金利」に近いということが十分あり得る。
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長期の負債を抱える投資家にとって、短期債よりも10年国債の方が負債に対する相対的なリスクが小さいとされる理由は、以下の通りです:
キャッシュフローのマッチング:
長期の負債(例:10年後の年金支払い)に対して、短期債を用いて運用した場合、満期が到来した際に再投資を行う必要があります。 この文脈における「負債」とは、年金基金などの機関投資家が将来支払わなければならない義務のことを指しています。具体的には以下のようなものが該当します:
年金基金の場合: 加入者に対する将来の年金給付金の支払い義務
生命保険会社の場合: 保険契約者に対する将来の保険金や年金の支払い義務
損害保険会社の場合: 保険契約者に対する将来の保険金の支払い義務
これらの機関投資家は、将来の支払い義務に備えて、長期的な資産運用を行う必要があります。そのため、負債(将来の支払い義務)の期間に見合った資産を保有することが重要となります。
再投資時の金利が低下していた場合、利回りが低下し、将来の負債に必要なキャッシュフローを確保できなくなるリスクがあります。
一方、10年国債は満期が負債の期間と一致しているため、再投資リスクを回避できます。
金利変動リスクの軽減
短期債で運用した場合、金利変動の影響を受けやすくなります。金利上昇時には、短期債の利回りは上昇しますが、既に保有している短期債の価値は下落します。 10年国債で運用した場合、金利変動の影響は長期的に平準化されます。金利上昇時には、10年国債の価値は下落しますが、満期まで保有することで元本を確保できます。
デュレーションとは、金利変動に対する債券価格の感応度を表す指標です。
長期の負債のデュレーションは長くなるため、短期債のデュレーションでは、負債のデュレーションとのミスマッチが生じます。
10年国債は、長期負債のデュレーションにより近いため、金利変動による資産と負債の価値変動を軽減できます。