道徳教育
どういうこと?
「新高校学習指導要領の問題点」(視点・論点)
2018年04月02日 (月)
twitterfacebookline
名古屋大学大学院 教授 中嶋 哲彦
今年2月、文部科学省が高等学校と特別支援学校高等部の学習指導要領案を公表しました。新しい学習指導要領は2022年度から年次進行で実施される予定です
第一に、「現代社会」を廃止する一方、「公共」を必修科目として新設することです。 高等学校には社会科系の教科として「地理歴史」と「公民」がありますが、「現代社会」は「公民」を構成する科目の一つです。現在、ほとんどの高等学校が「現代社会」を必修科目に指定しています。 今回「現代社会」を廃止して「公共」を新設する背景には、
この科目を高等学校における道徳教育の柱にしたいという考えがあります
文部科学省は、小・中学校でも高等学校でもすべての教科を通じて道徳教育を重視するとしており、「公共」の新設もその一環です。 道徳は個人の価値観や生き方に直結するものですから、教科として教えたり、その習得状況で生徒を評価したりすることは適切ではありません。 ところが、学習指導要領には、「公共」の目標として、生徒が「自国を愛」するようになることを指導すると明記しています。これでは、日本国憲法が保障する思想信条の自由に反して、愛国心をもつよう指導し、生徒の思想信条を評価することになりかねません。 「公共」の学習内容を見ると、現在の「現代社会」で扱っている「基本的人権の保障」や「平和主義」が削除されています 批判
中学で習うよ
中学で習う内容と現代社会で習う内容は同じか?
公民という括りの中では基本的人権がある
どこで学ぶんだろう?
現代社会はなくなった
公共にはない
それ以外の科目になるはず
実際に読んでみよう
文部科学省では,平成 30 年 3 月 30 日に学校教育法施行規則の一部改正と高等学校学習 指導要領の改訂を行った。新高等学校学習指導要領等は令和4年度から年次進行で実施す る
共通必履修科目としての「公共」を設置
選択履修科目として「倫理」及び「政治・経済」を設置する
その際,現行の選択必履修科目「現代社会」については,科目を設置しないこととする。
つまりいままでだと選択必修で
倫理・現代社会・政治経済の3つがあった
そして多くの高校で現代社会が事実上の必修であった
2022年度以降
必修 公共
選択必修 倫理・政治経済
となり、公共から基本的人権が消えた
つまり基本的人権が事実上の必修から消えたとされている
あれ?PDFを見ると公共の中に基本的人権の文字列があるように見える
誰がどの科目なのかざっと見るだけではわからない
指導要領にはあるので倫理か政治経済で学ぶ?
素朴な疑問
「自国を愛する態度」ってどう評価するの?