賠償金の踏み倒し
https://youtu.be/YlKtR_fxjEA?si=1ckDmWYR5Wyx2DC0
10年で支払い義務消滅
再提訴するとき請求額に応じて費用がかかる
賠償金を支払わないと
判決等に賠償金以外に完済までの遅延損害金の支払いも命じている場合には、賠償金の支払いを終えるまで遅延損害金が日々発生していく
債務者から支払われない側の対応
確定判決を得た者(債権者)は裁判所に強制執行の申し立てをする 裁判所の命令によって債務者の財産を強制的に差し押さえ、現金化するなどして判決内容に書かれた金額の取り立て(債権回収)を実現する
「強制的に債務者の財産から取り立てをして良い」といういわば許可書
差し押さえ対象の財産は債権者が探す
方法
債務者から自主的に財産内容の申告を求める「財産開示手続」(民事執行法196条以下) 課題
強制執行がうまくいっていない(不奏功)ことや、既知の財産への強制執行では全額を回収できないことなどを、債権者側がまず裁判所に説明しなければならず、手続き要件が厳しいのが難点です。
そもそも財産がなければとりたてられない
債権者には強制的な捜査権限がなく、十分な調査ができないことがままあります。
実際に弁護士として裁判実務に携わる中で最も問題であるのが、判決を得た後の取り立てです。長い時間と費用をかけて勝訴判決をようやくにして勝ち得たにもかかわらず、実際に取り立てができなければ、何のために裁判をしたのかわかりません。これでは司法や裁判制度、そして法治国家そのものの信頼や根幹を揺るがしかねません。
判決自体に債務者の財産調査のための強制的な捜査権限を付与する、取り立てが困難な場合には国がその立て替えを行い債務者に求償する、といった抜本的な法整備をすることが急務であると考えます。
国外在住の場合
国内では財産は見つからなかったものの、海外には財産があることが判明した際には、海外の財産を差し押えることも考えられます。しかし、日本国内の判決の効力が当然にその海外に及ぶとは限らないため、改めて海外で裁判を起こして判決を得たり、日本の判決の効力の承認をうけなければならないという事態も考えられます。
罰則なし
ただし、刑法上は、債務者が差し押さえを免れる目的で財産を隠した場合には、強制執行妨害目的財産損壊罪という犯罪に該当するケースもあります。 もし、強制執行妨害目的財産損害罪で有罪になれば、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金、もしくはその両方に処せられる可能性があります。このような疑いがある場合には、刑事告訴も検討する余地がありえます。
宇田幸生弁護士
差し押さえができないもの
生活に欠くことができない衣服や寝具、1か月の生活に必要な食料や燃料等です(民事執行法131条) 民事執行法152条
給料や賞与については、その支払期に受けるべき金額のうち原則として4分の3(養育費等の扶養料債権の取り立てのために債務者の給与等を強制執行する場合は2分の1)に相当する部分については差し押さえが許されません。
債務者の給料収入が余りにも少ない場合、原則どおりの差し押さえ禁止の範囲では最低限度の生活すらできないことも想定されます。このような場合、債務者は「差押禁止債権の範囲の変更」の申し立てをすることによって、差し押さえの一部取り消しを求めることができます(民事執行法153条)。
時効
裁判で確定した請求権は10年で消滅時効(民法174条の2)
対策:10年が経過する前に改めて裁判を起こし、時効を中断する
1億円の賠償金請求の場合、32万円もの収入印紙を改めて裁判所に納めなければならないのです
改正の動き
2017年9月 民事執行法の改正に関する中間試案