著作権法の憂鬱
from 2024-09-05
@OKMRKJ: そして、30条の4（引用者注：著作権法30条4）などの柔軟な権利制限規定を理解するためには、その先祖となった規定、平成21年改正および平成24年改正で整備された、旧30条の4や旧47条枝番シリーズなどが、どういう経緯で導入され、一方で、どんな限界・問題があって、平成30年改正で柔軟な権利制限規定の導入に至ったのか、という当たりを、正しく理解しないといけない。
すなわち、簡単にいうと、権利者の利益を実質的に害しないのに、形式的に著作権が及ぶように見える行為について、著作権侵害とならないことを確実にするために、個別に権利制限規定の整備が続けられてきたものの、技術や社会の進歩と変化に追いつくためには、個別対応には限界があるとして、柔軟な権利制限規定が導入されたことが述べられている。〔参考として：「基本的考え方」3頁：https://bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/pdf/r1406693_17.pdf 〕
実は、この権利者の利益を実質的に害しないのに、形式的に著作権が及ぶように見える行為というのは、アナログの時代はほとんど存在しなかったものの、デジタル化インターネット化が進むにつれ、様々な場面で登場し、日本だけでなく、アメリカも、ヨーロッパも、そして国際条約も、それらの行為に権利が及ばないことを明らかにし続けてきた歴史がある。
30条の4などは、その言った一連の流れの延長上に存在するということを、同条などの正しい解釈のためには、理解しておく必要がある。
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