菅の経済政策
9日に行われた岸田氏と石破氏を交えた討論会で、菅氏は「経済成長なくして財政再建なし」といった。これは、経済主義と言われており、財務省の「財政再建なくして経済成長なし」という財政再建至上主義とは対極の考え方である。ちなみに安倍政権では経済主義を取り入れ、財務省は忌み嫌っていた。
そうしたら、菅氏は、10日放送のテレビ番組で、消費税率の10%からの引き上げについて「将来的なことを考えたら行政改革を徹底した上で、国民の皆さんにお願いして消費税は引き上げざるを得ない」と述べた。
財務省が、経済主義を否定するときには、人口減少と消費税を結びつけるレトリックを用いるが、菅氏の発言はそれとそっくりだ。ということは、菅氏が経済主義に言及したので、財務省が慌てて巻き返した可能性があると筆者は邪推している。
外国人観光客の誘致に向けて世界の一流ホテルを国内に50カ所設ける考えを示した。国内で多くの消費活動が見込める海外富裕層を呼び込みやすい環境を整える。事業規模で26兆円の経済対策に盛り込んだ財政投融資を活用する。
議論の前提
日本の労働生産性は主要7カ国(G7)中最低
米国と比べると約6割の水準にとどまる
日本生産性本部の調べ
経済協力開発機構(OECD)加盟国21/36位
中小企業の低生産性が日本経済の効率化の足かせ
菅氏は「中小の再編を必要であればできるような形にしたい」と語る。合併などで企業規模を大きくすれば経営の効率化や生産性の向上、研究開発や投資の拡大などが図りやすくなる
基素.icon
「大企業化」が目的ではなく労働生産性の向上に取り組んでいただきたい(合併したら労働生産性が上がると考えるのは当然、誤り)
菅氏は小規模の利点を生んでいた同法の区分要件の改正を念頭に置く。従業員数の引き上げや資本金の撤廃などが選択肢になる。
地銀の合併を促す
背景
菅氏は2日、地域金融機関に関し「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と述べた。
菅氏は合併や再編を通じた経営体力の強化を促す。地銀の経営統合を独占禁止法の適用除外とする特例法を活用し従来難しかった同一県内の合併も認める方向だ。