自力救済禁止の原則
裁判所の判断なしに権利侵害を回復する実力行使をしてはいけないという決まり
社会秩序を保つために生まれた近代法の原則(呉明植『物権法・担保物権法』第2版.iconp.98参照)
民法で明文化はされていない
https://x.com/OKMRKJ/status/1776290737614893135
https://www.town.namie.fukushima.jp/uploaded/attachment/10655.pdf
民法には、自力救済禁止の原則というものがあります。権利を侵害するような状態が生じていても、裁判所を通さずに自力で侵害を排除することはできないという原則です。
権利が侵害されているのに排除できないのはおかしいと思うかもしれませんが、裁判所を通さずに排除できるということになると、個人の判断で実力の行使が認められることになってしまいます。
https://www.shinginza.com/jitsumu-souron1.htm
この原則が認められる理由は、社会生活秩序の維持にあります。国民各自が自らの権利行使を自由な判断により行えば恣意的な権利行使を許し、互いの自力救済を誘発し認めることになり、社会治安が混乱して外国の例を見るまでもなく最終的には自力救済の名の下、内戦と化すことも珍しい事ではありません。
この原則は、法律に明確に規定してあるわけではありませんが、正当防衛・緊急避難が民法(720条)、刑法(35条等)により例外的に認められていることから、緊急事態でなければ自分の強制的権利行使・実現は許されませんから、必ず公的機関である裁判所の法的手続を踏まなければならないと解釈されています。
もっと大きくいえば、国家の存在自体が自力救済を禁止しています。議会制民主主義においては、国民が自ら選んだ代表者を通じ国家組織をつくり国家の権力構造は司法、立法、行政権(憲法41、65条、三権分立)に分かれ、司法権を行使する主体は裁判所であり(憲法76条)その権限の最終根拠はそのような権力を国家に委託した国民の意思そのものにありますから、国民は自らの意思により自らの紛争解決権を国家に委託しており、その反射的効果として紛争解決権、自力救済権は放棄していると考える事ができるからです。
生まれる前から決まっててそんな考えは持っていないという反論にどう答える?基素.icon
自力救済を認めることは、国家組織・社会秩序そのものの否定に繋がりますから認められません。
ではどうして、正当防衛など緊急行為の場合自力救済が許されるのかといえば、それは国家の存在目的そのものに根拠を求めることができるでしょう。憲法上、国家の存在目的・国の最重要責務は、国民の個人の尊厳・基本的人権の保障(憲法13条)にありますから、緊急事態において、法的手続を経ようとすると(遅きに失してしまい)却って権利回復が困難となってしまうような場合には、例外的に国民自らの尊厳・権利を守る手段が留保されていると考える事ができます。勿論、例外的な手段ですから緊急行為の要件は厳格であり簡単には認められません。例えば戦争放棄をうたう憲法9条の解釈においても、国家・国民が緊急事態における自らの権利を守る自衛権・抵抗権・生存権までも放棄していると解釈する人はいないのではないでしょうか。そのように考えると理解しやすいと思います。
@OKMRKJ: 自力救済を、当たり前に主張されても、法律家としては、1%も賛成できないなあ。