線の重なりだけでトレース扱いできない(東京地裁)
令和2年(ワ)第25439号 損害賠償等請求事件(本訴)
令和3年(ワ)第1631号 損害賠償請求事件(反訴)
口頭弁論終結日 令和5年7月19日
登場人物
X イラストレーター
Y イラストレーター
事件
XがYにトレスされたとして訴えた事件
YがXに名誉毀損をされたとして訴えた事件
XはブログにYはトレス絵師などと仄めかす文を描いていた(直接的には言及していないが裁判所は名誉毀損を認定)
読者が読み解けるかどうかが鍵になる
@s_tomori: 絵師のトレース疑惑として検証画像300点を掲載しネットで非難した漫画家が名誉毀損で訴えられ、314万円の賠償命令。"匂わせ"投稿だったが名誉毀損。判決が「『線の重なり』があることのみをもってトレースと推認することはできない」と判示したことは重要。『エセ著作権事件簿』に新たな1頁。 https://pbs.twimg.com/media/F-EKo22bgAEncMx.jpg
これはややミスリーディング
海老沢美幸先生解説のスレッドで整理されて解説されているが 色々な事情を考慮して判断されてることを知っていただきたく、超長文ですみません。
事案はこうです。
漫画家兼イラストレーターYさん(被告)は、イラストレーターXさん(原告)のイラストがYさんイラストを
裁判所の判断は
1. タイムスタンプなどから、YはXのイラストをトレスできない。トレスできないのに線が一致しているなら、そもそも線が一致することはあると言わざるを得ない
というわけで、前段として「時系列で考えてYは自分の作品を作る時にXの絵を見ることができない」と認定した後に、であるならば線の重なりだけでトレース扱いできないとしている
もし前段がなければ別の論理になっていると思う(2のような理屈だけで乗り切るかもしれない)
2. 顔のパーツは解剖学的に大体同じところにあるのだから、その表現の幅は大きくない
文字に創作性が認められない論理と似てる基素.icon トレース疑惑をブログなどで公表したことが名誉棄損にあたると判断された事案になります。
タイムスタンプによる制作時期の先後関係や実演会による作成検証などの事実関係を踏まえ、結論としては、トレースした事実が認められていません。結果、著作権の争点の判断までに至っていません。
@stdaux: 単に「証拠不足でトレパクが認められなかった。まだグレー」ではなく、提訴から3年かけて主張と証拠を出し合い、双方に美大の教員がついて意見書を出して、丹念に審理した結果の判決です 当事者らの情報