社会記号
社会記号の4類型 ─ 呼称・行為・脅威・カテゴリー ─
本論文では,ことばを通じた市場創造という現象について深く検討するために,筆者が行った調査結果に基づき,博報堂ケトルの嶋 浩一郎氏が提案する「社会記号」について検討する。 「社会記号」とは,「ロハス」や「コギャル」といった「世の中の新しい動きや事象を言い表すためにメディアがつくる言葉」のことである。 この社会記号には,呼称,行為,脅威,カテゴリーの4つの類型があり,
また自己確認,同化,寛容,拒絶,規範,課題の6つの機能があることが示される。
それぞれの類型について詳細な検討を加えて,動機の語彙・ラベリングという2つの観点から,その役割について検討する
2017
嶋 浩一郎
一九六八年生まれ。上智大学卒。博報堂ケトル共同CEO。PR視点で企業コミュニケーションを手掛ける。本屋大賞実行委員会理事。...
松井 剛
一九七二年生まれ。一橋大学教授。博士(商学)。専門はマーケティング、消費者行動論、文化社会学など。著書に『ことばとマーケティング? 「癒し」ブームの消費社会史』、共編著に『1からの消費者行動』。
女子力、加齢臭、草食男子、婚活、美魔女、おひとりさま、イクメン、インスタ映え……。これら、どこからともなく現れて一般化した造語を、著者は「社会記号」と呼ぶ。そして、それは世界の見え方を一変させ、マーケットを支配していくという。では、「ことば」はどのように生まれ、どんなプロセスを経て社会に定着していくのか。なぜ人は新しい「ことば」を求めるのか。 本書は、マーケティングのプロと研究者がタッグを組み、それぞれの視点で「社会記号」について考察。人々の潜在的欲望をあぶり出し、世の中を構築し直す「社会記号」のダイナミクスに迫る。