破壊的イノベーションはブレイクスルー(性能の圧倒的向上)ではない
破壊的イノベーションは誤解されている―クリステンセン氏逝去を悼んで | Coral Capital
例えば、2020年が明けてますます「5G」という文字をニュースなどで見ることが増えましたが、これはクリステンセン氏が指摘した「破壊的イノベーション(おもちゃの劇的進化)」ではないと思います。むしろ真逆であるように私には思われます。
以下の動画インタビューで本人の言葉を聞くと、破壊的イノベーションとは「ブレイクスルー技術」のことでは「ない」とハッキリと述べています。
https://youtu.be/qDrMAzCHFUU
人類の歴史上、発明や技術革新は常に起こっています。クリステンセンは、そのことを指摘したのではありません。
クリステンセンが過去の事例とともに鮮やかに描き出したのは、最初はオモチャのように見える新興企業のプロダクトが、やがて主流の大手企業の市場を徐々に下から侵食する。このとき市場を侵食される側の既存大手企業は、新興企業に対抗するのが構造上むずかしいという、そのメカニズムでした。
よく誤解されるのですが、破壊的イノベーションとはブレイクスルー(突破、躍進)ではありません。アフォーダブル(手頃)でアクセシブルな、多くの人が手に入れられる製品を創出する、という意味です 。性能が優れているのではなく、より多くの人がその製品にアクセスするようになり、市場が拡大し、新規企業が既存企業を打倒してしまうわけです。
例
1960年代、トヨタがアメリカ市場で発売したコロナというアフォーダブルでアクセシブルな自動車は、大学生でも買えて、車の市場自体を拡大させました。GMやフォードの経営陣は、大型車と小型車の利益率を比べ、トヨタと競争する意味はないと考えました。しかしその結果、デトロイトはすっかり凋落してしまいます。
破壊的イノベーションは、企業と経済を成長させ、より多くの雇用を生み出すことができます。世界的に、ほとんどの成長は破壊的イノベーションで生まれています。
イノベーションの始祖、クリステンセンが語る「成長企業の条件」 | 2016年1月号 | 事業構想オンライン
この結果、フリーキャッシュフローをつかって、破壊的イノベーションを生むための投資ができるようになります。この3つのタイプのイノベーションを循環させれば、成長のシステムができるはずです。
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この理論は過去20年以上、クレバーで新しく、野心的なモノならなんでも破壊的イノベーションだと解釈を広げられ、誤って適用されてきた
どうすれば企業が成功できるかの因果関係を説明するロードマップではない。足元のぐらついた既存企業を新参者が破壊しようとしても、新参者がそれを正確に作れる見込みは甘く見積もって25%を下回る。
ジョブ理論