独禁法
ティム・ウーも指摘していることですが、独禁法を骨抜きにしたのはシカゴ学派の経済学者たちでした。ミルトン・フリードマンやロバート・ボーク。 アメリカの独禁法の根幹はシャーマン法とクレイトン法で定義されています。この二つの法律は競争を促進して市場がその恩恵を享受できるようにすることが目的です。 しかし、シカゴ学派は企業の経営効率の考え方を持ち込みました。大きいことはいいことだ。なぜなら、大きい方が経営効率が高いから。裁判で効率重視の判例を積み上げることで、独禁法を骨抜きにしてきました。その結果、80%の産業でシェアの集約化が起きているそうです。3から4の企業が一つの産業で80%のシェアを持っている状態にあるそうです。
市場が3〜4の企業で独占されている時、消費者に選択肢はありません。
例えばレンタカー会社は11ブランドあるように見えますが、実質的には3企業しかありません。
複数のブランドを作って競争があるように見せかけるのが独占企業のやり方だそうです。
ユニリーバ(アイスクリームのベン&ジェリーズとか)もP&Gもたくさんブランド持ってますしね。
オー・ボン・パンもクリスピー・クリーム・ドーナツもプライベート・エクイティーのJAB Holdingsが親会社ですし。
航空会社も合併を繰り返し三回運賃が値上げされました。
様々な調査結果でも、数少ない企業で独占されている業界は値上げが行われ、その利益は消費者には還元されずに株主と役員にしか還元されていないそうです。
独占している会社は「独占している」とは決して口外しない
彼らは政府に規制をかけられたくない、目をつけられたくないので「独占なんてしていませんよ」と言います。
例えばサーチエンジンをやっているGoogleは66%のマーケット・シェアを持っており、サーチエンジン市場を独占しています。
最近ではGoogleが自らをサーチエンジン会社をやっていると表現することはありません。彼らには様々な側面があります。例えば、ある時は彼らは広告ビジネスをやっているということもありますね。
Googleのサーチエンジンビジネスを見れば、「巨大市場を独占している。マイクロソフトが90年代に成し遂げた独占よりもすごいぞ。だから彼らは物凄く成功しているんだ」と思います。
しかし同じ数字を広告市場の視点で見てみると「サーチエンジンの広告は17億ドルの市場で、そしてそれはオンライン広告のあくまで一部であり、アメリカすべての広告市場はそれよりも更に大きく、国際市場になると5000億の価値があるので、Google広告ビジネスの観点でみると、巨大な広告市場の中の約3.5%の市場しかシェアがない」ということになります。
広告ビジネスではなく、彼らはテクノロジー会社をやっていると言い換えることも出来ます。
テクノロジー市場は1兆ドルもの価値がある巨大市場で、Googleはこの市場では「私達は自走車で既存の自動車会社と競争しているんだ。テレビやスマートフォンの分野ではAppleと競争している。FacebookともMicrosoftとも競争している。Amazonとはクラウドサービスで競争しているし。私達が勝負しているテクノロジー市場は巨大で、競合がたくさんいる。政府が規制をかけたくなるような独占企業ではありません」と説明することが出来るでしょう。