民主主義とは何か
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2020
Donald Trump大統領をはじめとする「ポピュリスト」の跋扈、旧社会主義諸国および中国など権威主義国家の台頭など、近年の世界の政治状況は、民主主義という制度の根幹を揺るがすかのような観を呈しています。日本の状況を見てみても、現行の政権が「民意」の正確な反映、すなわち「民主主義的な」政権だといわれると、頸をかしげる人も少なくないのではないでしょうか。はたして民主主義はもう時代遅れなのか? それとも、まだ活路はあるのか? それを議論するためには、まず何よりも、民主主義とは、そもそもどのような制度なのかを「正しく」知らなければならないでしょう。今では自明視されている「民主主義」という制度ですが、人が創ったものである限りそれもまた歴史的な制度として、さまざまな紆余曲折を経て現在のようなものになったのであって、決して「自然」にこのようなになったわけでではないのです。 そこで本書では、ギリシア・アテナイにおける民主主義思想の「誕生」から、現代まで、民主主義という制度・思想の誕生以来、起こった様々な矛盾、それを巡って交わされた様々な思想家達の議論の跡をたどってゆきます。その中で、民主主義という「制度」の利点と弱点が人々にどのように認識され、またどのようにその問題点を「改良」しようとしたのか、あるいはその「改革」はなぜ失敗してしまったのかを辿ることにより、民主主義の「本質」とは何なのか、そしてその未来への可能性を考えてゆきます。
またあわせて、日本の民主主義の特質、その問題点についても分析してゆきます。
民主主義という思想・制度を知るための、平易な政治思想史の教科書としても最適です。 民主主義なんて知ってる?じゃあ、どちらが正しい?
民主主義は多数決
民主主義のもと、少数派の意見を尊重しなければならない
民主主義国家は公正な選挙がある
ルソー「自由なのは選挙の時だけだ」
民主主義は自分たちで社会課題を解決する
国の制度だ。国民の意思を政治に反映させる具体的な制度だ
理念だ。終わることのない過程だ
丸山眞男「永久革命だ」
〜ではあるが、それだけではないと語ることになる。本書はこれに歴史的にアプローチする。
変化し、相互に矛盾する多様な意味を解きほぐし、分析する。選び直して再解釈するのがゴール。
キーワードは参加と責任のシステム
目次
序民主主義の危機
民主主義の四つの危機
欧米
NHSに分配金を回せると言うデマが影響した
ポピュリズムは既成エリートへの異議申し立てである
ただし、これを利用する政治家は「自分だけが民衆の声をきけるのだ」と他者を抑圧することもよくある
中国は欧米的民主化を胡錦濤までは目指していた
習近平体制以後は独裁
民主は意思決定に時間がかかる
フクヤマは2011で政治の起源を発表し、中国からかきはじめている。それまでは欧米から書くのが常識だった
2016年のダボス会議で使われた言葉
思考が外部化されて人間が平等な判断主体ではなくなる。このような人がつくる民主主義に意味はあるのか?
コロナ危機と民主主義
ロックダウンのようなケースでは民主主義は邪魔?
中国は個人情報を徹底的に管理している。民主主義の資金石。国の権力は一旦拡大すると元に戻らない
民主主義は危機を乗り越えられるか
第一章 民主主義の「誕生」
なぜ古代ギリシアか
「人々に力を」
「民主主義」と翻訳されたが、主義という抽象的なものではなく、制度や実践
Power to the peopleのようなもの
https://www.youtube.com/watch?v=4Epue9X8bpc
起源は諸説あるがギリシアは徹底されていた。市民はこれに参加することを栄誉としてきた
人類史の中の民主主義
古代ギリシアの独自性
いろいろな政治体制を試した
アリストテレスの政治学にまとまっている
最盛期は1500ぐらいの独立国家があった
城壁内部と外、中でも公共の領域が区別された
外で奴隷を使って農民した。公共の領域ではその仕事をした。
政治とは何か
古代ギリシアのイメージは、はっきりしてる
農民と同じような感じ
アリストテレス「支配といってもいろいろある」
相互的な支配。共同の自己統治
力による隷属は政治とは呼ばない
重要なのは公共的な議論によること
これは政治ではない
実力による矯正
買収
議論なしの妥協
閉鎖的な話し合いでの決定
納得して自発的に服従する必要があった
納得しなければ従わない
一市民として提案した。平民の熱意に押された
地縁にもとづく10部族制
cf. それまでは4部族の血縁
内陸部、沿岸部、都市部に分け、それを10こずつわけて、1つづつpickして区をつくる。貴族の力を削ぐための制度
民主主義への道のり
初期の主導は貴族
戦士たちの自衛的小集団の集まりがポリス。リーダーは貴族だった
政治参加が増えれば増えるほど利害対立する。スタシスという。
対立は不可欠。最後は合意するにしても。
僭主ペイシストラトス
再分配した善政だが、独裁だったので息子が悪政した。
長期的には独裁は悪いものだと明らかになった
民主主義とは
戦争と民主主義
参加と責任
3 民主主義の批判者たち
それでも民主主義は残った
リーダーシップの是非
哲学者たちの民主主義批判
民主主義の復原力
第二章 ヨーロッパへの「継承」
西欧における議会制
それは民主主義なのか?
イタリアの都市国家
起源としての身分制議会
英仏の近代化
持ち越された民主主義の課題
アメリカ独立の両義性
アメリカは「民主主義の国」か
純粋民主主義と共和政
代議制民主主義が「常識」になる
『アメリカのデモクラシー』
フランス革命とルソー
フランス革命の原因
時代錯誤の思想家ルソー?
ルソーが残した謎
第三章 自由主義との「結合」
民主主義と自由主義
代表機能の向上
バンジャマン・コンスタンのルソー批判
民主主義の再浮上
歴史の趨勢としての「デモクラシー」
生き方、考え方としての「デモクラシー」
自由な民主主義社会をつくるために
青年ミルの苦悩
古典的な自由主義の完成
民主主義こそが最善の政治体制である
代議制の意義
代議制民主主義論の完成
バジョットと議院内閣制
第四章 民主主義の「実現」
「完全に無力な議会」
自由主義と民主主義
第二次世界大戦後の民主主義論
古典的な民主主義論への懐疑
エリート民主主義論
ダールの「多元主義」
ポリアーキーへの道筋
ポリアーキーと民主主義
参加と平等の回復を目指して
戦後民主主義の安定と動揺
「モッブ」と民主主義
財産所有の民主主義
第五章 日本の民主主義
民主主義の成立へ
出発点はどこに
総力戦と戦後改革
戦後民主主義の行方
戦後民主主義の変質と残された改革
日本の民主主義の未来
流び 民主主義の未来
多数決と少数派の尊重
民主主義とは選挙に尽きるのか
制度か理念か
四つの危機を乗り越えて
何を信じるべきか
おわりに
参考文献