朝鮮国連軍
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朝鮮国連軍(正式名: United Nations Command, UNC)は、1950年に勃発した朝鮮戦争(韓国と北朝鮮の戦争)に対応するため、国連安全保障理事会の決議を受けて組織された軍事司令部(多国籍軍) 実際にはアメリカ軍主体で運営され、アメリカ以外にもイギリスやカナダなどが参加したが、「国連軍」という名称からイメージされる現在の国連平和維持活動(PKO)とは異なる性格を持つ
朝鮮戦争は1953年に「休戦協定」を結んだだけで「講和条約」は結ばれず、軍事的な緊張が続いたため、朝鮮国連軍(UNC)はその後も韓国に駐留し、半島情勢に関与し続けた
朝鮮国連軍は現在も形の上では存続しているが、実質的にはアメリカ軍(在韓米軍)が中心となっており、当初の「国連の多国籍軍」というイメージからはかけ離れている
日本との関係では、「国連軍の後方司令部」が横田基地(東京都)に置かれている。1954年に日本政府は「国連軍地位協定」を締結し、朝鮮国連軍が在日米軍基地を自由に使える権限を認めた。そのため、万一朝鮮半島で再度戦争が起きた場合、「国連軍」の立場で在日米軍基地から作戦行動が行われる可能性がある 「朝鮮国連軍」(実際はアメリカ軍主体)が、在日米軍基地を自由に使える権限を持っている
「国連軍」が日本の基地から出撃すれば、国際法上は“共に戦争をしている”とみなされる恐れがある
相手国(北朝鮮やその支援国)から見ると、「日本国内の基地が実際に攻撃拠点になっている」ため、日本は“攻撃されても仕方ない国”という扱いになるリスクが高まる。
日本が軍事行動を直接しなくても、「相手側が反撃の対象にする正当性」を持ってしまう
たとえば、北朝鮮などが「国連軍は日本を後方拠点として使っている」と判断すれば、基地や周辺地域をミサイル攻撃などで反撃する理由を得ることになる。
つまり、「日本が撃ってなくても」「日本は支持を表明してない」と主張しても、国際法上は“交戦国扱い”になってしまう可能性がある
国連本部(ニューヨーク)や国連事務総長には、朝鮮国連軍を直接指揮・統制する権限がない。実際には「国連の旗」のもとにあるが、運用面はアメリカ主導で行われる“特殊な存在”となっている
以上のように、朝鮮国連軍は朝鮮半島の冷戦構造の名残として形だけは残り続けており、日本とも「国連軍地位協定」を通じた結びつきが現在も存在する。この点が、他国の在外米軍駐留と比べても特殊な事情とされる