明認方法を施された立木は土地の付合物(民法242条)だが別人名義で売買・抵当設定できる
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テキストの知識では解けないと思う基素.icon
テキストにはこうある
土地の定着物は原則として土地の一部とされるが、その例外として、
①立木法によって登記された立木は、土地の定着物でありながらも、土地とは別個の不動産とされている(立木2条1項)。
問題の解説を読むと
「明認方法を施すことにより,独立の物としての取引が可能な物」とは,具体的には,立木ニ関スル法律の適用を受けない立木,稲立毛などを指すから,付合物に当たる。
「立木ニ関スル法律に規定する立木」も,土地と離れた独立の不動産として扱われるため,付加一体物に当たらない。
基素.iconテキストから理解すると明認方法を施された立木も独立の不動産なのだから、付加一体物に当たらないのでは?
o3.iconなぜ「明認方法を施した立木」は 付合物(3) と断言できるのか?
用語のレイヤーが2段ある
1. 物理・法律上の“モノの身分”
民法86条1項…不動産=「土地」と「その定着物」
立木は本来ここに含まれ,土地とは別個の不動産ではない。
2. 取引・対抗要件レベルの便宜表現
「独立の物として取引可」というのは
登記立木…立木法で登記→本当の別個不動産
明認立木…札掛け等で所有者を公示→取引は可だが登記簿なし
これが慣習法上って意味か基素.icon
試験が聞いているのは①の身分レイヤー
付合物(民242)は「物理的・経済的に分離が困難で,土地の構成部分化しているもの」。
明認立木は根で土地と一体のまま。分離せずに札を付けただけだから,242の典型。
立木法で登記がある木だって土地の構成部分化しているじゃないか基素.icon
「独立不動産」という教科書表現は②の便宜
「別人名義で売買・抵当設定できるよ」という意味しかない。
身分レイヤー(86条)では依然土地の一部 → 付合物に分類。
立木法登記の場合だけ本当に昇格
地番が付き,登記簿に“立木”が起票 → ここで初めて定着物(1)として土地と並列。
土地/土地の定着物と別れるときに、土地の一部だったものが登記されると土地の定着物になるってことか基素.icon
https://gyazo.com/78fde4a3e66d7a0e8e70856b008556d2
呉明植基礎本『民法総則』第3版.iconp.117の図
これでいうところの「土地とは別個の不動産」に入るイメージ
しかし、図では明認方法が施された立木も「土地とは別個の不動産」だから区別できないじゃないか
o3.iconの説明が正しいとすると、明認方法等が施された立木は「土地の一部」に含まれることになる
o3.icon
「別個の不動産」かどうかを判断する切り口が 2 層 ある
1. 物の「身分」=民法上の基本的地位(土地の一部 or 土地と独立)
2. 取引・登記の取り扱い(独立に譲渡・抵当設定できるか)
明認方法を施した立木
1 の身分レベルでは「土地に従として付合した物」(民 242)
根は抜かないので物理的・経済的に土地と一体
2 の取引レベルでは 慣習法で別個取引が許される
これを指して教科書は「土地とは別個の不動産」と便宜的に呼ぶ
立木法で登記した立木
登記簿に独立した「立木」ページが起票 ⇒ 身分レベルでも完全に土地と並ぶ
よって試験の分類でも「定着物(1)」グループ内の“例外”側に置かれる
図(p.117)の読み方と試験図の違い
教科書図は「取引できるか否か」を強調して二股にしている。
試験問題は「付合規定が働くか」で分類しているため,明認立木を土地側に寄せている。
教科書の図でいうところの
「土地とは別個の不動産」 (教科書図)
切り口:② 取引・登記の可否
内容:明認立木・登記立木・建物
試験図での扱い:
登記立木・建物 → 定着物(1) のサブカテゴリ
明認立木 → 付合物(3) として枝分かれ
「土地の一部」
切り口: 身分レベル
内容:根の付いた通常の樹木・取り外し困難な庭石など
試験図での扱い:付合物(3)
だから試験解説では「立木ニ関スル法律に規定する立木は付合物に入らない」と線引き。
具体的な判例・条文
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対象物 物の身分(民 86・242) 取引・担保の扱い 典拠・判例メモ
登記立木 土地とは完全に独立 可(登記あり) 立木法1条・2条
明認立木 242条の「付合物」(土地の一部扱いが原則) 慣習で可(登記なし) 最判昭47.4.20 等
普通の立木 242条の付合物 不可(分離しない限り土地所有者の物) 同上
試験とテキストの違いは身分の話なのか取引・担保の扱いの話なのかの違い基素.icon
明認方法が施された立木は、取引の上では土地とは別個の不動産(上表3行目)