日本の資本構造
日本の資本構造
経済システムの議論にあっても、「資本主義」という言葉をなるべく使わないように自制することが有益なのではないか
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そもそも大企業の正社員になるとクビにならないわが国は、労働力が商品として売り買いされるようなシステムを意味する資本主義に該当しない。企業の売買も不自由だ。こちら側は、「日本的縁故主義」とでも呼ぶのが最も似つかわしい。 他方、下半分の、主に非正規労働者が相互に競争させられて賃金を抑えられている経済エリアは、かつて経済学者のカール・マルクスが「資本論」で叙述したような労働者を搾取する資本主義が、もっとひどく純化したものが存在する、「ブラック資本主義」とでも名付けてみたくなる世界が現存する。この世界に労働者としてはまり込むと、かつてマルクスが賃金水準の決定に想定した「明日の労働力たる子どもを育てるコストも含む労働力の再生産コスト」をはるかに下回る競争的な低賃金で働くことになる。 資本を取り巻く状況には多くの状況があり、資本主義で括るのは難しい